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アドラー心理学とソーシャルワーク

大学のスクーリングで、相談援助について学んできました。この相談援助に関する理論や技術を学んでいると、これってアドラー心理学じゃん、と思えることがたくさんあります。

相談援助においては、ソーシャルワーカーの倫理綱領を遵守しなければなりません。今回のスクーリングでは、ロールプレイを交えて、ソーシャルワーカーの倫理綱領について学びました。その講義の中でもアドラー心理学で学んだことが随所に出て来ました。

ソーシャルワーカーの倫理綱領において最も大切なことは、利用者の価値を大切にするということです。支援者目線ではなく、常に利用者の側に立ち、利用者の価値を大切にしなければなりません。

支援者は、技術が向上したり、幾つもの福祉サービスに精通してくると、福祉サービス優先の利用者支援になることがあります。このサービスを利用すればいいのに、なんで利用しないんだろう、そんな思いからサービス利用を強く推し進めてしまいます。

しかし、利用者にはそのサービスを使いたく理由があります。利用者にはその人固有の価値、事情、生活、人間関係、大切にしたいことがたくさんあります。みなさん文脈の中で生活をしています。そこを理解しなければいけません。

以前、一人暮らしで軽度の知的障がいを持っている人がいました。何度か栄養失調で入院することがあり、周囲の支援者たちは、施設に入った方が良い、その方が安全だ、そんな声があがりました。しかし、ご本人は頑として拒否を続けました。私は行政の担当者に、本人を説得するのが仕事だろう、と言われました。制度が変わる前の話です。しかし、まだまだ制度優先、サービス優先の支援があります。

スクーリングでは、さまざまな事例から、ご本人の価値を大切にするということを学びました。学んでいて、アドラー心理学の本で読んだことを思い出しました。
馬を水辺に連れて行くことはできても水を飲ませることはできない。

私たち支援者は、利用者がその生活を続けることで、ご本人や第三者の生活に重大な影響をおよぶことが予測されたり、生命を脅かすような不利益が生じないかぎり、利用者の価値や行動を変えることはできません。

だからといって、じゃ好きにしなさい、これは放任です。ご本人が福祉サービスを受け入れ、自分で自分の生活をより良くしていこう、そう思ってもらえるように導くのがソーシャルワーカーの仕事になります。

まずは、アドラー心理学で人の価値を大切することを学び、そのうえで、支援者としての技術を学ぶのが良いと思います。

残念なことは、いくら相談援助に関する学びを深めても、「アドラー」が出てこないことです。他の心理学者は出て来るのに…。

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