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「大好き!」この仕事を続けていて良かったと思う瞬間
「髙橋さん、大好きです」。私は、毎日、告られます。幸せな毎日です。
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。小さい事業所が区内に点在しています。私が、事業所を訪問すると利用者の皆さんが歓迎してくれます。この仕事をしていて良かった、と思う瞬間です。
熱烈な告白に応える
私がパソコンに向かっていると、私のそばに来て告白してくれる利用者がいます。
「髙橋さん、大好きです」
私も「大好きです」と答えます。
また、もっと激しく、「髙橋さ~ん、好きよ~」と激しいアクションで迎えてくれる利用者もいます。そんなときは、「私も大スキ~」と言いながら、私から握手をして手を離しません。(その前に事業所の玄関で手の消毒をします)
そんな私を見て、ある支援者は「本気になったらどうするんですか」と心配します。つまり、利用者が恋愛感情を持ったらどうするんですか、と言うことです。
しかし、そんなふうに疑うことは失礼です。私は、本気で「大好きです」と応えています。また、私から握手をすることで、適切な距離を保つことができます。
「大好き」に込められたの気持ち
事業所を利用している人の中には、複雑な言い回しが苦手な人がいます。その人にとって「大好き」という言葉は、いろいろな意味があります。私たち支援者は、言葉に込められた意味やその目的を理解して返事をします。
しかし新人の支援者が、異性の利用者から「スキ」と言われて応答に困るのも事実です。利用者に「スキ」と言われて照れて戸惑っています。
利用者に「スキ」と言われて一番多い応答は「ありがとう」です。しかし、相手の気持ちを考えると「ありがとう」という返答が嬉しいのかどうか疑問です。相手の気持ちを考えて、上手にリードするのが先輩支援者の役割です。
言葉にならない歓迎も
また、同性の利用者も、熱烈にその思いを伝えてくれます。私の顔を見て、「いた!」っと言いながらオーバーアクションで喜んでくれる人や、私の車が駐車場に入ったのを見つけて、玄関で私の上履きをそろえて待っていてくれる人がいます。そのあと、私が靴を履き替える前に手を引っ張って室内に連れて行くので、歓迎してくれるのだと勝手に思いこんでいます。
十分な言葉でコミュニケーションが取れるわけではありません。利用者の反応一つひとつを見ながら、利用者の喜びに注目をします。この瞬間を楽しんでくれているんだなぁ、そう感じたら、少しでもこの瞬間を続けよう、またこの機会を作ろう、そう思います。その積み重ねが私の毎日です。
この仕事を長く続けるコツ
今年は、新しい支援者が3人来てくれました。産休や定年で欠けていた支援者を補充することができました。新しく来てくれた支援者に、利用者とのやり取りの楽しさをいっぱい感じて欲しい、そんなふうに思っています。やがてそれが自分の宝になります。それがこの仕事を続けていくコツだと思います。