#7 夏によく使う漢方
中医学の陰陽五行説では、夏の外邪は「暑邪」ですが、日本は島国なので、「湿邪」も人体に影響を及ぼします。「暑邪」は体の水分を失わせますが、「湿邪」は胃腸に影響しやすいので、夏の病気も胃腸の不調を伴うことが多いのです。その時に藿香正気散を正しく使えば、体調の回復や夏バテの予防に役立つのです。
藿香正気散には藿香や蘇葉(そよう:シソの葉)など香りの高い生薬が多く含まれています。特に処方名に冠された藿香(かっこう)は、体に取り付いた邪(ウイルスなどの病原菌)を発散させる生薬で、適度に体を温めながら湿気も発散させてくれます。また、胃の中に溜まった水分を取り去る作用のある生薬が含まれて、暑さや冷たい飲食物をとり過ぎて働きが悪くなった胃腸を癒し、食欲不振などを改善することができます。
「藿香正気散」は、中医学では「祛暑解表,芳香化湿、理気和中」の働きがあるため、暑くて頭は熱っぽいのに、お腹が冷えていて、食欲がない、さらに吐き気、水様便も伴うといった症状にもお勧めです。
ただし、体の芯からの冷え(脾腎陽虚)による軟便・下痢などには不向きなので、専門の漢方医に相談する必要があります。
夏という季節は、中医学の陰陽五行学説の理論では、「心(心臓)」と「火」が深く関係しています。「火」はとても散りやすいという特徴があります。「火」が散ると「心」の気・血を養うことができず、気・血の不足による気力倦怠、寝つきが悪い、あるいは睡眠が浅いなどの不調が起こりやすいのです。この場合は漢方の処方としては帰脾湯、加味帰脾湯等お勧めします。
夏にはよく汗をかきますが、中医学の視点では「汗は心の津液である」とされ、汗をかき過ぎると「心陰」が足りなくなります。また、「気は大量の津液と共に外脱する」ので、心が「気陰両虚」になり、これが「夏バテ」の原因だと考えるのです。
夏バテに対する漢方の処方としては、生脈散、清暑益気湯、西洋人参烏梅などをお勧めします。また、「心陰」が不足すると「心火」が出やすくなり、動悸息切れ、不安、不眠を起こすことがあります。これらに対しては天王補心丹などが用いられます。
夏の養生では、しばしば、「心火」が出過ぎないようにします。しかし、冷房の中で長時間仕事をする人、毎日のように冷たいビールを沢山飲む人、肉より野菜が中心の食事を摂る人は、身体が冷えやすいので、要注意です。
そこで、良仁堂では、竹葉、桑葉などを使って、「心火」を下げながらも脾胃を冷やさないオリジナルの「夏の薬膳茶」を用意しております。夏には、疲れやすく湿が溜まりやすい(気虚湿盛)ので、ぜひ、良仁堂オリジナルの夏の薬膳茶をお試しください。
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