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EDMのサビへ向かう盛り上げ方は、シナリオにも応用できる。

■EDMの手法を学ぼう!

EDMという電気的な音を使ったダンスミュージックがある。色々と細かいジャンルはあるんだけど、正直私もよく分かってないのでそこは省こう。

そのEDMによく使われる手法の1つに「ビルドアップ」というものがあります。段階的に盛り上げていく感じなんだけど、まあ聴いた方が早いか。

というわけでじゃん!

専門学校時代に友達から教えてもらって好きになった楽曲、Hardwell & MAKJさんの「Countdown」で体感してみましょう!

0:55くらいからビルドアップが始まるので、一度聴いてみてくださいまし。


……聴いた? よし、聴いた体で話を進めるぞ。

ビルドアップを簡単に言葉で説明すると「音の間隔が短くなり、音が高くなりながら、様々な音が増えて盛り上がる」という手法です。

テンポは変わってないんだけど勢いが出て気分が高揚するような効果が生まれるので、実際はEDM以外でも様々な音楽で用いられてるんだ。むしろオーケストラが始まりかもしれない。

そしてこれはシナリオにも応用可能! だと私は考えています。


■シナリオビルドアップ

まあ音楽に限らず大体のものは相互的に応用できると思ってる人間なんだけど、今回はビルドアップに焦点を当てて考えてみよう。

このビルドアップをどうシナリオに応用するかというと、

・間隔を狭めていく
・言葉の強さを高めていく
・情報量を増やしていく

これらを用いることで……

物語の「勢い」「盛り上がり(山場)」を作り上げることが出来る。

という形でシナリオの要素に当てはめることで、物語のビルドアップを作れるのだ!

とはいえ理論だけ言っててもしゃあない。私がよく使うのは2種のビルドアップを例文を用いながら解説します。


1:ブロックごとの段階ビルドアップ

まず1つ目に伝えるのは、ブロックごとに要素を捉えてビルドアップを作る方法。

「段落」や「文章」といったブロックを1つの要素と考えて、ブロックごとに盛り上げていきます。具体的に例文を作ると……

①剣を抜き、敵へと向ける。
②じりじりと間合いを詰めていく。
③心音の高まりを感じ、砂を踏みしめ。
④グッと手に力を込めて、息を止めた。
⑤刹那、甲高い金属音と共に剣戟が始まる。
⑥つばぜり合いをしながら相手を睨む。
⑦弾き返されて間合いの外、汗が落ちる。
⑧次は殺すと上段に構え、強く息を止めて。
⑨踏み込み、斬る。奴の命を終わらせる瞬間。
⑩斬撃を見ることも叶わず、私は斬られた。

こんな風にブロックごとの文章を作ってみた。詳細なプロット状態だけど、充分に盛り上がりと物語の推進力は感じられると思います。


これは主に間隔を狭める形でビルドアップを構成してみました。仕組みを解説すると……

①②③④:動く前の準備
⑤⑥:1発目の斬り合い
⑦⑧:一旦離れて準備
⑨:再び斬り合い
⑩:相手に斬られる

このように①~④の4ブロックから、次の展開である⑤~⑥は2ブロックに間隔を狭めている。⑤~⑥から⑦~⑧は変化しないが、次の⑨では更に1ブロックへ。

このように状況を表現する文章を2分の1にすることで、倍の速度を擬似的に再現しています

これがそれぞれ1ブロックで進んでたら、焦らしも情緒もなくて盛り上がりづらい。トントン拍子は盛り上がりに欠けるものだ。

逆にそれぞれ4ブロックで進んでも、内容が濃くなるだけで速さや推進力が見せられない……

しかしもう1つの使い方を用いれば、ブロックごとの変化がなくともビルドアップを作ることは出来たりする。


2:文節、文字ごとのビルドアップ

こっちはより細かい視点での使い方です。「文節」「文字」ごとに先ほどの……

・間隔を狭めていく
・言葉の強さを高めていく
・情報量を増やしていく

を活用することで、たった1つの文章でも盛り上がりを作ることが出来ます。まあブロックごとに使うよりも小さなものだけどね。


こちらも例文を作ってみると……

重剣を振り上げては振り下ろす、火花が散っては切り崩し、小さな痛みも忘れ、ただ怨敵のみ、斬って、斬って、斬って、斬って……壊し、絶つ。

かなり顕著にしてみたけれど、こんな風に書けば若干の盛り上がりを見せられる。それぞれ解説してみましょう。

最初らへんは「振り上げては」「散っては」という長めの文節を用いつつ、徐々に「小さな」「痛みも」と文字数を減らしていく

最初は「振り下ろす」だったのが「斬って」に変わり、最後には「壊し」「絶つ」という言葉にして、言葉の強さを高める

そして「剣を振る」から始まり、「火花が散る」で戦いであることを見せ、「小さな痛みも忘れ」で自分も傷を負っていることを知り、「怨敵」で敵への殺意を出して、「壊し、絶つ」で戦いを一旦止める……

という具合に情報量も増やす。以上の工夫で文章1つでも意図的に盛り上げることが出来ます。


■まとめ

テーマ:
EDMの手法、ビルドアップはシナリオでも応用できる。

影響:
物語や文章に盛り上がりや勢いを付けられる。

方法:
ブロックごとか文節、文字ごとに、
・間隔を狭めていく
・言葉の強さを高めていく
・情報量を増やしていく

以上の3つを入れること。


こんな技も知っているとシナリオを書くときに役立つかもね、という感じの記事でした。

他にも物語を考えるための技術などを記事にしているので、よかったら読んでみてくださいねー!

では、また次回お会いしましょう。


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恒石涼平@ゲームシナリオライター
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