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”一人で抱えれば「悩み」、話せば「笑い話」”

”一人で抱えれば「悩み」、話せば「笑い話」”


そんなコピーを目にした。すかさずスマホのメモを開いている自分がいた。

真っ先にある光景が浮かんだから。

1週間に1回は出てくるネタなのでもう知っている人も多いかと思うが、私は現在「就労移行支援」という障害福祉サービスの一つで、支援員を行っている。就労移行支援というのは、簡単に言うと障害を持った方の一般就職・復職を支援する場所。

とりわけ私の所属する事業所は「脳卒中を患った方」に特化している。

そういった方が持っている障害というと、身体麻痺であったり失語であったり、高次脳機能障害であったり。

脳卒中の特徴というのは、生まれつきではなく「後天的である」ということ。それが何を意味するかというと、

”過去に「出来ていた自分」を覚えている”

ということだ。

脳卒中だからといって記憶がなくなるわけではない。だからこそかつて動いていた腕や足が動かなくなっていることを自覚しているし、かつてスラスラ出てきていた言葉が出てこなくなっていることも自覚している。

わかってはいるけど、の状態だ。


想像できる範囲でも絶対葛藤があると思う。
だけどまだ同じ立場になったことがないので気軽に「大変ですよね」なんて同情は出来ない。肯定もせず、否定もせず、受け止めることしかできない。

「あんたにはわからんよな」

は本当におっしゃる通りだと思っている。

でも、だからこそ移行支援という居場所が利用者さん一人一人にとって葛藤を共有できる場になっているんじゃないかとも思っている。

正直、家庭の中であったり社会の中であったりでは「孤独」だ。きっと多くの人が同情したり話を聞いたりしてくれるかもしれないが、利用者さん―支援員の関係性ばかりで溢れている気がする。

ただ私が所属している移行支援の場所は違う。

同じ葛藤を抱えた人が集まっている。
「あんたにはわからんよな」が「わかる」人がいる


今日、体験者の方がこられた。

利き手側の麻痺。失語。

パソコンの入力に苦戦している様子があった。

「、、、疲れたー」

そう体験の方が言った。

すると、

「大変だよねー(笑)」
「わたしも最初そうだった」
「わしも頭痛いわ(笑)」

そんな声が周りの利用者さんから発せられた。そして自然と笑いが広がり、体験で来られた方も笑っていた。

なんか素敵だな、って思った。

この光景を見てまさしく、

”一人で抱えれば悩み、話せば笑い話”


だな、って。

辛さや葛藤を「孤独」で昇華させず、「笑い話」で昇華する。そんな居場所が誰にでも1か所でもあれば、それだけで人生豊かになる気がした。

今回はイメージしやすいように、私が普段働く移行支援の事業所を例にあげた。だけどこれはこの場に限った話じゃなくて、誰にでも当てはまる話であって。

人って悩み、思いつめるほど孤独を感じる。そういう時ほど「どうせ周りはわかってくれない」と思って一人を選ぶ。結果より「孤独」になる。

でもそれって結構しんどくて。


わかってくれる人はいる。それにわかってもらえるように伝える努力もする。話せば意外とわかってくれる。そして意外と同じ境遇の人もいる。

1人でいい。1人でもいいから伝えることが出来るようになることで、その孤独が笑い話になる。



”一人で抱えれば悩み、話せば笑い話”


大事にしていきたい言葉だ。


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塩浦良太
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