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「好き」を語るときの顔が好き

#就労支援の現場から

就労支援の仕事をしていると、関わるご利用者様の中で自分の言いたいことが思うように言葉に出来ない方がいる。

口が動きづらいことにより発音が難しい方もいれば、”言いたいこと”はあってもそれを言葉にするのが難しい方など内情はさまざま。

よく、
「相手の立場になって物事を考えた方がいい」
とは言うけれど、想像は出来ても立場になることは出来ないから完全に理解することは容易ではない。

だから毎回コミュニケーションをとる時は「わからない」前提に立ち、相手の声に耳を傾けながら、どういう思いで、何を言いたいのか考えながら聴いている。相手の脳内を探検する感じ。

そうやってやり取りをしていると、探検の途中で相手と巡り合う瞬間がある。その瞬間は嬉しいものだし、相手も嬉しそうな表情を見せる。

ちょっと話がそれてしまった。

そうやってコミュニケーションをとっていると相手の表情だったり、発言の語気だったりに意識を向けるようになる。そこで気付いたことがある。

”「好き」を語るときの表情が最高だなぁ”

ということだ。

確かに上手く伝えることが出来ないときもあるかもしれない。
伝えたくても言葉が出てこないことがあるかもしれない。

でも自分の「好き」なことについて話すとき、総じて表情が柔らかくなっている。語気が上がっている感じがする。話し始めたら止まらなくなっている。そういう姿を見ると、こちらも嬉しくなってくる。

失語症の方がいる。

「言葉が出てこないんですよね~」

とよく言っている。確かに多少言葉のつながりは上手くいかなかったり、単語が出てこなかったリハある。でも移行支援利用開始直後に比べたら見違えるほどによくなったのだが、むしろそれと同時に自身の障害理解も進み、現状と向き合えるようになってきた時期でもある。

その方は「鉄道」が好きだ。
脳卒中になる以前は、鉄道に乗っていろんなところに旅行に行ってたららしい。それもあってこの方は鉄道の話になると止まらなくなる。

「サンダーバードはよく乗ってたな~」
「ここの駅弁うまいんよ」
「新幹線には速度制限あって・・・」

言葉が出てくる出てくる。
表情も活き活きしている。

そういう姿を見ると「嬉しいな」と思うと同時に、「その好きに触れられる時間を多くつくっていくためにも、働いて稼ぐを目指して移行支援で頑張っていきましょうね!」という気持ちになるし、そのために全力でサポートしていこう!となる。


読んだ本で印象的な言葉がある。

”好きなことがある”というのはそれだけで朝起きる理由になる。

「好き」ってそれだけ人を前向きにさせる。

人間生きてればそりゃ上手くいかないこととか、悪いことだってある。悲しいこともつらいこともある。そこから目を背けるわけじゃない。

でも、出来ることならたくさんの「好き」を語っている人の表情を目におさめていきたいし、いろんな人の「好き」を知っていきたいな。それだけでこっちも幸せになるから。

だから自分も自分の「好き」をたくさん発信していきたい。

そんなことを想った華金の夜。
大好きなスタバで。

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塩浦良太
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