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やさしさと運に拾われて

朝に乗るバスの中は、都会ほどではない(都会を知らないが)だろうけどギュウギュウだ。

ギュウギュウが嫌で、ちょっと早めに家を出るのだがそれでもやっぱりギュウギュウだ。学生の朝は早い。高校の頃の朝練の時間を思い出す。


いつものようにバスに乗って、始発に近いから席に座れて。ただ相席になるからギュッとなって。そうやっていつもの態勢でいた。降りるバス停の場所について、いつものように支払いをして、いつものように会社に向かおうと歩き始めた10歩20歩。

・・・あれ?、、、、ない。
ポケットの周りには、いつもあるはずの財布がない。


人間そういった危機になったとき、
「一回なかったこととして考えないようにする」のと「一気に目が覚める」のはどうしてなんだろう。

そんなことはどうでもよくて。
シンプルに「終わった」と思った。

2、3歩で気づけばすぐ戻れたかもしれない。でももう10歩20歩進んでいる。
だから降りた場所に、バスはもういない。


ただ…!

幸運にも私が降りるバス停はちょっと変わっていて。たぶんわかる人はわかっちゃうと思うけど、「降りる場所」と「乗る場所」が違うのだ。

降りたところからグルーっと周って、乗る場所へと向かう。


「まだ間に合う…!」

早めに気づけたのが不幸中の幸い。

走って「乗る場所」へ向かって、バスが来ることを願った。そして先回りできた。めちゃくちゃついている。

バスの運転手さんに、


「すいません、さっき降りたばかりのものなんですけど忘れ物しちゃって」

と言ったら、快く「わかった、探して」と言ってくれて。自分が座っていた席を見に行ったら、代わって座って学生の子が、「自分」の財布を窓際の部分に置いてくれていた。

「すいません、これ僕の財布で。。ありがとうございます」

というと、「良かったです~!」と言ってくれた。

財布を受け取って、バスの運転手さんに「見つかりました!ありがとうございました!」とお伝えして、一件落着。。。


朝からドッと疲れが出たけど、それ以上に「なんてやさしい世界なんだ…!」という感動と、めっちゃ運良かったな、という日頃の行いに感謝して。


なんて素敵な1日だ。



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塩浦良太
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