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「知識」の現在地を把握する

#就労支援の現場から

就労支援という仕事をしていると、いや、就労支援に限らず「人に教える」ということに関していえば共通して言えることとして、

その相手が「学びの段階」的に今どこにいるか

が大事だと思っている。

学びや知識というのは広義の意味で言えば「知っている/知らない」、「使える/使えない」という風に分けられる。だけどこれでは広義すぎる。そこまで単純じゃない。

単純じゃないし、このモノサシで測っていたら人に教えた時、

「何で教えたのにわかんないの?」

という認識になってしまいかねない。知ってるなら使えますよね?って。このモノサシで測っちゃうと、教える側教わる側双方にとってよくない。

自分が教えたことに対して、相手が「知識」の現在地としてどこにいるのか、この視点は大切にしたいなと。(自分の学びでもそう)


「知識」の現在地の段階分け

知識や学びの段階として、個人的には大きく5つに分けられると考える。
それが以下の通りだ。

①知らない
②情報として知っているけど使えない
③決められた条件であれば使える
④使いこなせる
⑤応用できる


①知らない

この状態は言うまでもない。「知らない」状態だ。知識としても分からないし、存在自体にも気づいていない。

せめて「なんとなく聞いたことはあるけど。。。」くらい。
この状態に関してはこれ以上も、これ以下もない。

②情報として知っているけど使えない

①知らないを一歩進めた段階にあるのが「情報として知っているけど使えない」状態。①と違うのは、情報として頭に入ってきたこと。無意識下から意識下に入ってきたということ。だけどその知識を使うことは出来ない。

例えばプロ野球選手が、自分の変化球の握りを紹介したとしよう。それを見た視聴者は、

「なるほど。こうやってボールを握れば●●選手みたいに投げれるんだ!」

となるだろう。でも野球をやったことがなくてそもそもボールを投げる時の身体の使い方や腕の振りなどわかっていなければ、同じようなボールを投げることは到底できない。

知識だけはついて実践はできない。

(※ここから野球の話、多くなります(笑))

③決められた条件であれば使える

②「情報として知っているけど使えない」の次のステップとしてあるのが「決められた条件であれば使える」状態だ。

これに関していうと、ある程度基礎的なスキルは身についてきた段階。野球でいうと、体の使い方や腕の振りも基本は押さえられるようになったくらい。その時に、同じようにプロの選手が言っているボールの握りで投げると似たような変化球を投げることが出来るようになる。

「投げることができる」=「使える」とすれば成功。
だけどまだまだ、投げることが出来るだけで”思ったところに投げること”は出来ない。コントロールすることができない。

そういった意味で「決められた条件」でのみ使うことが出来るというわけ。

④使いこなせる

③の次のステップにあるのが「使いこなせる」状態だ。腕の振りやボールの握りがさらに洗練されて、投げたいところに投げられる、使いたい場面で使いたいように使える。

そうやって自由自在に自分の意思で操れるのがこの状態だ。

⑤応用できる

そして最終形態が「応用できる」状態。

例えばボールの握りをちょっとずらして変化量を変えたり、腕の振りを変えて緩急をつけたり、はたまた似たような新しい変化球を生み出したり。

基礎を使いこなせるようになった先に、より自分に合うものに変えていく。これが「応用できる」状態だ。


以上、野球の例えが多くなってしまったが、これが私の考える「知識」の現在地を把握するための段階分け。

これをやれ学校の授業の内容だったり、やれ仕事の内容だったり、それこそ自己分析だったりにでも当てはめることが出来ると思っている。

それぞれ相手が今どの段階にいるかがわかれば、教える側も

「じゃあこういった部分を意識して教えていこう」

とか

「じゃあこの内容を今は教えていこう」

という選択ができると思う。学ぶ側も、今何をすべき時期か把握出来る。
そういった意味で”現在地の把握”は大切にしていきたいところだ。


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塩浦良太
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