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人材派遣営業のコツ② 基礎知識編 part9 「抵触日とは」

今日のnoteは人材派遣営業のコツシリーズ第二弾、基礎知識編のpart9として、「抵触日」について、お話しします。

「ひたすら具体的」というのがこのシリーズの狙いなので、知っておくべきことについて超実践的に解説していきます。

コツコツと積み上げていけば、つらくなく、楽しく貢献できる人材派遣営業になれること、間違いなし!周りに、人材派遣営業をしていて、辛そうにしている人がいたらこのnoteを紹介してください。

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2015年の派遣法改正は超大事

2015年の派遣法改正は前回もお伝えしましたがとても大事です。

前回のnote↓

大切な理由は2つ

①2015年より前が派遣法の歴史だとしたら、2015年以降は現代史、もしくは現在そのものと言える

②派遣労働者の保護という観点を強く反映した法改正である

とう部分です。

次の2020年の法改正が、同一労働同一賃金に関わる待遇面の改正であったため、この2015年改正の内容は実は、今もほとんど変わっていません。

②はちょっと僕の偏見あるのかな・・・2012年の民主党政権時代の派遣法改正も派遣労働者の保護を目的とした法改正なんですけど、”日雇い派遣の原則禁止、専ら派遣の規制強化、離職後1年以内の人材を派遣スタッフとして元の職場で働かせることの禁止”などは保護と言うより、派遣への規制強化でしかなく・・・・・・長くなるから割愛w

まあ、均等待遇や、直接雇用、無期雇用への転換の流れなど2015年改正のベースになったポイントもあったにはあったのですが、なんとなーく、派遣労働者の保護を目的としているって言いたくない感じなんですよね。分かる人いるかなぁー・・・

・・・話を戻そう!・・・と言うわけで、↓厚生労働省の「平成27年 労働者派遣法改正法の概要」は、まずは一読、そしてもう、諦めて丸暗記でお願いします。(ガンバレ!どうせ営業現場では何度も必要になる!!)


抵触日ってなんだ!?

以前、派遣の歴史をお伝えしました。初めに許可された専門業務の上限が3年だったので、抵触日という概念はずっとあったはずです。ただ、その重要性を一気に増したのは、1999年のポジティブリス⇒ネガティブリスト(派遣して良い業務を決めていたルールから、派遣してはいけない業務を決めるルールへの変更)により、派遣できる業務が原則自由化されたときだと思われます。

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1999年の改正で解禁されたという内容をまとめると以下の通りです。

・すでに許可されていた26業務は引き続き3年まで派遣可能(専門性が高いから正社員のポストを奪う心配が少ない・・という建前)

・建設、港湾運送、警備、医療、物の製造業務は禁止(昔から人身売買が多かった仕事や、命に関わったりするから。製造は正社員の代わりになっちゃう恐れがあるから)

・26業務と禁止業務以外は、上限1年(1年までなら正社員のポストを奪う心配がないから)

それぞれの()の意味は前回の「常用雇用代替防止」について思い出してもらえればスッキリしますよね?

んでぇ!ここで多くの業務は1年までになるのですが、その1年の上限を迎えて派遣ができなくなる日のことを抵触日と言います。法律で禁止されているルールに抵触してします最初のと言う意味です。

抵触日=期間制限によって派遣ができなくなる最初の日

期間が変更され、制限される対象が増え(仕事だけでなく派遣労働者にも!)、ルールは複雑化していきますが、それ以来、抵触日と言う言葉が派遣ビジネスにおいての重要性を失ったことはないので、忘れないでください。(というか派遣に関わる以上、忘れようもないw)


期間制限の簡単な流れ

さて、1999年以降の期間制限の流れを簡単に説明します。

1999年:いわゆる自由化業務(解禁された禁止業務と26業務以外の業務)が原則1年までで解禁。26業務は3年まで。

2004年:26業務は無期限に派遣可能に。自由化となった業務に関しても最長3年に延長。製造業務への労働者派遣が解禁。(2004年の改正は大きなインパクト!)※原則1年までだが、組合か労働者過半数代表への意見聴取によって3年まで延長が可能

2007年:製造業務の派遣受入期間も、そのほかの自由化された業務と同じく、最長3年へと延長される

2012年:労働契約申込みみなし制度の新設。以下の違法派遣が行われている場合には、違法な状態が発生した時点で、派遣先が派遣労働者に対して、労働契約の申込みをしたとみなす制度。

具体的には以下の状態になるとみなし雇用の対象になる。

・適用除外業務への派遣の受け入れ
・派遣元以外からの派遣の受け入れ
・派遣可能期間を超えた派遣の受け入れ
・いわゆる偽装請負の場合

期間を超えてしまったら直接雇用の申込をしたとみなすという規制が追加された。

2015年:「26 業務」への期間制限なしルールが撤廃。すべての業務が派遣先事業所単位と派遣労働者個人単位の2つの抵触日で制限されるというルールに統一される。(この後解説します。)

・・・現在に至る。


ごめん!簡単じゃないよね。かなり情報削ったんですけどね。とりあえず、流れだけでも。ちょっと僕も記憶があいまいで分からなくなってググったしw



派遣先事業所単位と派遣労働者個人単位の抵触日

ココ!ややこしいけど、今の派遣法のルール!頑張りましょう!基本的に厚労省のリーフレットの通りだ!!

派遣先事業所単位の抵触日とは!

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こちらは、過半数労働組合等の意見を聞いて、問題なければ派遣と言うサービス自体は使い続けることができますよ。ということです。意見聴取については、後で少しだけ解説しますが、正社員の代表である組合などが、良いというのであれば、正社員のポストが派遣にとって代わっているわけではないのだろうから、まあ、延長していいよ。っていうものだと、理解をしてください。

そして、派遣労働者個人単位の期間制限とは!?

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・・・何でなん!って思いません?

これは、正社員(大手の)の定期的な人事異動をイメージしてもらえると掴みやすいです。

いわゆる正社員は、3年ごとなどの人事異動によって、営業⇒総務⇒製造現場⇒経理など(実際はそんなにダイナミックではないけど)と異動を繰り返して、ゼネラリスト(その会社のスペシャリストでもある)としてキャリア開発が行われています。・・・少なくともそのようにみなされています。それが日本の雇用!

で、それに対して派遣労働者が同じ仕事に従事できてしまうと、ただでさえスキルが必要ではない仕事も多くある派遣の仕事を、延々と続けることでスキルアップやキャリア開発の機会が失われてしまう!

だから、3年後に同じ会社の違う事業所に派遣するのはOK(人事異動と同じで、仕事が変わるから)だけど、全く同じ仕事だとダメ。逆に、その業務軸で見れば、他の派遣労働者がやってくるなら、引き続き派遣の受け入れはできる(事業所抵触日の意見聴取さえしてあれば)わけです。

つまり、現在の派遣における抵触日のルールは、派遣労働者のキャリア開発の機会を保護するためのルールであると言えます。


意見聴取。それから、専門業務と自由化業務のリアル。

ここで、意見聴取についての説明と、蛇足になりますが、2015年改正以前のリアルについてお話しします。

まず意見聴取についてです。勘のいい人はもう理解していると思うのですが、僕は意見聴取の理解が凄く遅く、もっと早く理解しておきたかったなと思ったものです。

7年くらい、意見聴取の意味わからずに僕は仕事していたのですが、意見聴取とは、派遣先労働者の代表たる、労働組合や労働者過半数代表(36協定とかにもサインするよね!)へ意見を聞くことです。

何の意見を聞くかと言うと、例えば

「1年までの予定のプロジェクトだったけど、3年はかかる見通しになってさ、正社員雇うと3年後、やってもらうことなくなるからさ、ほら、正社員の代替になってないでしょ??なので、受け入れ期間延長したいと思います。どうでしょう??」

とか

「派遣受け入れる前の正社員の数は200人。受け入れた後の正社員の数は210人。専門性の高い業務で派遣受け入れをしているから正社員も適切に採用していっています。なので、もう少し専門家が社内で育つまで派遣の受け入れを延長したいのですが・・・どうでしょう??」

みたいなことを従業員にお伺いを立てるということなんですね。(伺いさえすれば、反対されてもそれはそれ。だけど真摯に。)

今は正社員数の推移などの判断材料となる情報を明示して、意見聴取の内容を記録を3年間保存する必要がありますが、昔はこのあたりが結構雑でして、適当に意見聴取する派遣先がかなり多かったです。そんな現実もあって、僕はこのルールが本当にわけ分かりませんでしたw

まさに常用雇用代替防止の概念を理解したころに、やっと腹落ちしたポイントの一つです。

「常用雇用代替になってないでしょ?延長して受け入れますよ?」っていうことなので、是非とも知っておいてください。

あと、蛇足ですけど、2015年以前の、専門26業務と自由化業務(3年まで)のリアルについて。

【専門26業務に分類される仕事】
ソフトウェア開発/機械設計/放送機器等操作/放送番組等演出/事務用機器操作/翻訳・通訳/速記/秘書/ファイリング/調査/財務処理/取引文書作成/デモンストレーション/添乗/建築物清掃/建築設備運転点検・整備/案内・受付・駐車場管理等/研究開発/事業の実施体制等の企画・立案/書籍等の制作・編集/広告デザイン/インテリアコーディネーター/アナウンサー/OAインストラクション/テレマーケティングの営業/セールスエンジニアリングの営業/放送番組等における大道具・小道具スタッフ

専門26業務って↑なんですけど・・・これが・・まぁよく分からない分類だったんですよね。端的に言って、派遣法が誕生する前から、事実上派遣業務されていた(請負契約で)ものを追認している形だったので、一貫性がないんです。それだけじゃないだろうけど。

で、この事務用機器操作とかファイリングとかの運用が凄く酷かった。マジでひどかった。

確かに、派遣法ができた時点では事務用機器を操作できることは専門性が高かったかもしれません。でも、2000年代なんて、パソコンとか使うのは仕事において当たり前だったし、なのに、ただデータ入力するだけの仕事が専門業務として、無期限に派遣されていたりしました。

それだけならまだしも、ほとんど雑用みたいな仕事を少しパソコン使うからということで事務用機器操作にしたり(一応1割まで雑用あってもいいとかそんなルールもあった)、本当はISOとか上場とかに関わったりするようなルールが専門的なファイリングを指すファイリング業務に、子どもでもできそうなファイリングを専門的と言うていで、契約するなど、そういったことが名の知れた大企業でも、横行していました。

僕は比較的事前に法律とかを学ぶタイプだったので、あまりに当たり前にルール違反がなされているので、もはや日本の労働は終わっている・・・って思ったのを覚えています。何というか、高速道路の80キロ制限で110キロ出すみたいなノリで違法行為放題でしたよ。(道路交通法も守りましょう)

当然、26業務以外の、自由化業務についても抜け穴探しのオンパレード。この時は同じ業務、同じ課で3年までというルールだったのですが、指揮命令者の課を無理やり変えて、ちょっと違う業務風に契約書を作って、そのまま派遣し続けたり、グルグルと製造AラインとBラインを繰り返したり、3カ月と1日経過したら抵触日がリセットされるのですが(クーリング期間)、そういう意図ではないに決まってるのに、いったん契約解除して、わざと3カ月あけた後で、戻ってきてもらったりしてました。

・・・・・2015年改正がなければ、僕はたぶん会社辞めていたと思います。

この派遣業界及び経済界がグルになって(?)、コンプライアンスぎりぎりアウト(僕的には)なビジネスをしていたことは、人材派遣業界の反省点として知っておく必要があると思います。

以前、書いた、「年越し派遣村」の時に業界が、「違う!」って声をあげられなかったのは、このあたりでグレーゾーンを許容しながらビジネスをしていたからではないかな、なんて思っています。

そういう意味では、特定行為(面接行為)は、今も何とかしないといけないレベルで横行しているよねぇ・・・はぁ・・・・

まあ、でも昔よりはだいぶ良くなってきたし、懸命に取り組めば業界もまだまだ、少しずつでも変わることができるっていうことだと、前向きに捉えていますよ。今の僕は。


最後に

本当は、抵触日については書かないで、雇用安定措置について説明しようと思っていました。

が、この先の説明で、3年という期間であったり、どうして雇用安定する必要があるのか、そして事業所にも抵触日があるのはどうしてか・・・このあたりは、新たに派遣業界に入った人においては特に良く分からないのでは・・・と思って、抵触日とその流れについて書きました。(もしかしたら、新人ではなくベテランでも、かつての僕のように、よくわからないまま放置している人もいるかもw)

次回は、「雇用安定措置」について説明します。

では、また明日!




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