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「探究はなぜつまらないのか」を探究した高校生の話

私は教育コーディネーターなので、毎日いろんな高校・大学をいったりきたり過ごしているんですが、今年ベストオブ印象に残った高校生は、桜美林高校のO君です。

2023年度、桜美林高校2年生の探究カリキュラムを年間コーディネートを仰せつかったのですが、それはまあ、大変でした。

毎週大学生と出張授業し、高校生ひとりひとりの探究テーマ設定に伴走し、8大学11キャンパスの専門家にプレゼンしにいき、なぜか教会でポスターセッションし。

(まあ、こう書いてみるとそんなに奇をてらったプログラムではなくて、基本に忠実な、私の生真面目さが滲み出す構成だなとしみじみ思います)

教会でポスターセッション

もちろん私にもやりたいことはありますよ。ただ何せ、学年10クラス・350名の規模だと、何をやるにも「物量がやばい」んです。連絡ひとつ、印刷ひとつ、提出管理ひとつ、物量がやばい。さらに10クラスの担任の先生方の個性もそれぞれなので、取れるパスを投げないといけない。キラーパス駄目ぜったい。

探究の授業運営の正否を分けるのはロジスティクスである。私は確信している。

そんな環境で、二学期に入るころ「この授業、、、つまらなくないか、、?」と疑問を持ち始めたのがO君。

担任に食ってかかり、学年主任に食ってかかり、私に食ってかかり、どんどん火がついていきます。途中からこちらのプログラムを半分無視して、「なぜつまらないのか」の探究を始めました。

O君のポスターセッション

彼の論点はこうです。

・僕はもともと勝手に探究しているのでほっといてほしい。(架空の鉄道会社を具体化したりしているらしい)

・ただでさえ課題が多い中で、やらされ探究させないでほしい。(特に彼は高いレベルの進学が期待されている理系クラス)

・教材にテンプレあるのが我慢できない。せめて自由にさせてほしい。

・一方、探究が苦手な同級生にはサポートが足りなさすぎるし、テンプレートが弱すぎる。アンケート取るしかない。

・発表が苦手な同級生にとって、全員発表の機会はつらいものである。病欠率を調査しよう。

以上です。みなさんはどう思われますか?

学年代表みんなめちゃくちゃおもしろかった

そんなO君の探究発表「探究はなぜつまらないのか」は見事、学年代表として選出されました。大きなホールで意気揚々とプレゼンテーションした彼に、生徒はもちろん先生方も割れんばかりの拍手喝采を送りました。

この話題の結論は、そんな桜美林高校すばらしいな、という点です。素直に本音を語れる心理的安全性、それを否定しない教育側の覚悟、これこそ探究学習を成功させる必須要件だと思ってます。

ゲストで観に来てくださった校長先生から「うちの生徒が失礼を…」とフォローされたけれど、自分まったく問題ないっすよ!!

達成感に満ち溢れたO君の高揚に、私は自分の仕事の成功を実感できたわけですから。

高校生って本当におもしろいですね。学校にいると元気になります。

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