『世界哲学史6』10章「江戸時代の「情」の思想」まとめ

『世界哲学史6――― 近代I 啓蒙と人間感情論』
の読書会があった。

ネット上にまとめ記事がなかったので、不完全だが、自分の読書ノートを公開する。

今回扱うのは以下の部分。

10章  江戸時代の「情」の思想(pp. 257-276)

  • 著者:高山大毅 

朱子学

  • 「根源的同一性」(pp. 260-261)

    • 「人間は誰もが生まれがらにして完全な道徳性を備えており、「人欲」の克服は、人としての本来のあり方に立ち還ること」

    • 「道徳性を十全に発揮している状態に至れば、人々の間に見解の相違などはなくなる」

      • 立派な人間になれば、いたるところは同じ。

        • 他の人の気持ちをあれこれ考える必要性がない

朱子学反対派

  • 「根源的同一性」を否定、他人の心の理解を重視

伊藤仁斎(1627-1705)

  • 他者の感情を推し量り、理解することを重視した(P.262)

  • 人間の生まれつきの資質には差異がある

    • 正しい人間関係の在り方

    • 他者の感情を理解することは、自己の良心を養い育み、他者との間に慈愛に満ちた正しい関係を結ぶうえで欠かせない

  • 伊藤東涯(1670-1736)

    • 仁斎の長子

    • 『詩経』を学ぶことによって、世間の人の感情を理解できるようになる。

      • 上手く世渡りするための「感情」のケーススタディとしての『詩経』

  • 穂積以貫(1692-1769) (p.263)

    • 伊藤東涯の弟子

    • 近松門左衛門の友達

      • 浄瑠璃に影響

荻生徂徠(1666-1728)

  • 「人情」理解を統治の問題と結び付けて語る傾向が強い(p. 264)

    • 古代の為政者は『書経』のままに政治判断を行う嫌いがあった。

    • その際に『詩経』を参照し人の感情を知るようにしていたという。

本居宣長(1730-1801)(p.266)

  • 「物のあはれを知る」

    1. 「物の心を知る」(p.266-267)

      1. 花を見て、「美しい花だな」と趣を理解すること

    2. 「事の心を知る」

      1. 哀しいことに同情(嬉しいことも含む)

  • 「物のあはれを知る」人々

    • その間には「うるわしい秩序が生まれる」(p.268)

    • 「空気を読む」のではなく、心情を歌に詠みきちんと表現する

      • 現代の人は歌詠まないからこの点で駄目だね、と高山はいう。

        • 現代にも現代なりの表現があるのではないか(X、ブログ、会話)

  • 江戸時代の「粋」や「通」にも繋がってる

    • 江戸時代、「情」の中でも格別深いものは「恋の情」であるという認識が広がっていた(p.270)

「振気」論 (pp.272-)

  • 取ってつけたような感じなので省略


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