64歳、パリで新たなスタートをきる 46 心に響く言葉4
異国の地での挑戦に立ちはだかる壁。そんな時、過去の経験から得た知識が心を支えてくれます。そんな「言葉たち」を皆さんに紹介します。
■大西康之著 ロケット・ササキ 新潮文庫
ジョブズが憧れた伝説のエンジニア
佐々木正
kindle版を購入して読みました。
★概要
敗戦から高度成長期にかけて、デジタル産業の黎明期に、常に世界の最先端を突っ走ったスーパー・サラリーマンがいた。シャープの技術トップとして、トランジスタからLSI、液晶パネルと当時のハイテクを導入して苛烈な「電卓戦争」を勝ち抜き、電子立国・日本の礎を築いた佐々木正。インテル創業者が頼り、ジョブズが憧れ、孫正義を見出し、サムスンを救った「伝説の技術者」の痛快評伝。
(新潮文庫ホームページ 概要より)
★心に残った言葉
「いいかい、君たち。わからなければ聞けばいい。持っていないなら借りればいい。逆に聞かれたら教えるべきだし、持っているものは与えるべきだ。人間、一人でできることなど高が知れている。技術の世界はみんなで共に創る『共創』が肝心だ」
私の解釈は、知らない事を聞くことは恥ずかしいことではない。情熱を持って何かに挑む時には自ずとわからないことは誰かに聞いているはず。情熱が強いかどうかがポイントだと思います。
佐々木さんは、アメリカに学び、そしてそれを実用化させていきました。
それらの事例がこの本には書かれています。一部ご紹介します。
■八百屋のおかみさんが使えるコンピューターを作れ
★MOS-LSI(1960年アメリカのベル研究所で発明された)
シャープ創業者の言葉「八百屋のおかみさんが使えるコンピューターを作れ」この時の電卓は卓上ではなく会計機で100万円を超えていたそうです。
当時、民生用ではトランジスタを使用していました。軍需用としてMOSが使われていましたが、歩留まりが2%と悪く民生用としては使えないものでした。
それをアメリカのロックウェルと共同開発したのがシャープで、アポロ12号で実際に使われました。
共同開発する事になったのは、シャープの吉田さんという技術者の努力によりロックウェルが圧倒される力を見せたことが大きな要因です。
これにより、電卓の小型化が実現しました。
MOSの事を学び、それを研究し実用化していく。「知らないことは聞けばいい、知っていることは教えればいい」佐々木さんの考え方が、こうした共同開発をスタートさせ、成果につながったのだと思います。
★液晶(アメリカのRCAが液晶を使ったディスプレイを研究)
MOSの次は計算機のディスプレイ。当時はニキシー管と言う蛍光管の一種を採用していましたが、小型化の邪魔になっていました。
シャープでディスプレイ開発担当していた人が自宅で何気なくテレビをみていたら、NHKが海外企業の最前線を紹介する番組をやっていました。そこで取り上げられていたのがRCAと言う会社。この番組で液晶ディスプレイを紹介していました。
さっそく担当者は佐々木さんに相談すると「あれか、あれは使い物にならんという話だぞ」と言われますが、他に開発する候補がないのでやってみたいと熱心に伝えたところ、佐々木さんは、その場で秘書にRCAの役員にアポをとる指示をだします。RCAとシャープはメジャーリーグと草野球ほどの差があるにもかかわらず、佐々木さんの人脈には驚きです。
そして、当時の液晶ディスプレイは、反応は遅く、ぼんやりと映るだけで実用的ではないもので、使う予定のない技術だからと言うことで、格安でライセンス契約を結びます。そこからシャープの技術者が実用化させるのです。
■まとめ
他にもアップル創業者スティーブ・ジョブズ、インテルの創業者、ソフトバンク創業者などとのエピソードがこの本には載っていますので、興味のある方はぜひお読みください。
私がこの本を読んで感じたことは、
なぜシャープは、世界を驚かせる技術をもてたのか。
それは、世の中の先をみる力を持った人(佐々木)が経営層にいたからです。常に最先端の企業(技術者)と交流し、情報を集め人脈を広げていたからこそ、部下が行き詰って相談すると、すぐに解決に向けたアドバイスや手助けができたのです。日本のマネージャーの多くは、会社の方針やルールを社員に実行させる管理者になっているような気がします。
佐々木さんのように、常に最新の情報を集め人脈を広げ、いざという時に解決のアドバイスができる、そんな上司になって欲しいと思います。
また、目指す方向があっていれば、誰もやらないことをやりたいと申し出る社員がいたら、支えてあげられるような上司にもなってもらいたい。
佐々木さんのようなマネージャーが少なくなった日本企業は、衰退している気がします。
シャープは佐々木さんがいなくなると、液晶技術にしがみつき、新たな挑戦をやめたため衰退しました。
佐々木さんが活躍したした時代、世界を技術で牽引した日本に再びなってくれる事を願います。
いいかい、君たち。わからなければ聞けばいい。持っていないなら借りればいい。逆に聞かれたら教えるべきだし、持っているものは与えるべきだ。人間、一人でできることなど高が知れている。技術の世界はみんなで共に創る『共創』が肝心だ」
épisode1 動機・退社編
épisode2 準備・出国編
épisode3 到着・始動編
épisode4 支払・apple pay編
épisode5 スマホ・Wi-Fi編
épisode6 お買い物編
épisode7 Tver編
épisode8 公共交通機関編
épisode9 フランス語編
épisode10 育児について
épisode11 セーヌ川クルーズ体験
épisode12 ルーブル美術館
épisode13 AIに触れる
épisode14 AIを使う
épisode15 孫産まれる
épisode16 フランス語講座
épisode17 新たな家族
épisode18 フランス語講座2
épisode19 パリ アレコレ
épisode20 フランス語講座3
épisode21 自力フランス語
épisode22 ちょっとした出来事
épisode23 フランス語講座4
épisode24 フランス語講座5
épisode25 育児から学ぶ(前編)
épisode26 育児から学ぶ(後編)
épisode27 フランス語講座6
épisode28 テレビを観る
épisode29 パリを駆ける
épisode30 フランス語講座7
épisode31 フランス語講座8
épisode32 フランス語講座9
épisode33 ベルサイユ宮殿
épisode34 フランス語講座10
épisode35 SDGs講舎に参加
épisode36 フランス語講座11
épisode37 マルシェデビュー
épisode38 フランス語講座12
épisode39 自力フランス語2
épisode40 ファーマシー
épisode41 宅配の受取り
épisode42 心に響く言葉1
épisode43 心に響く言葉2
épisode44 メトロ・デビュー
épisode45 心に響く言葉3
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