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創作の小沼

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うっかり作ってしまった創作物たちを放り込んだ小さな沼。創作のインスピレーションは果たして沼からも生まれるのでしょうか?
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記事一覧

【小説】西海道中膝栗毛<其ノ五> 最終回

十八 「小次郎さん、どげんしたとですか!」  小次郎のただならぬ様子に万次郎が驚く。 「正…

Ryé
4か月前
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【小説】西海道中膝栗毛<其ノ四>

十四  将軍の前に男が一人、後ろ手に縄をかけられて座っている。昨夜、長嵜から到着した廻船…

Ryé
4か月前
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【小説】 西海道中膝栗毛<其ノ三>

八  平次が机の脇に立っている。  報告を聞いた頭領の眼に鋭い光が過った。 「つまり、和寇…

Ryé
4か月前
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【小説】 西海道中膝栗毛<其ノニ>

三  蟬の声が、朝からにぎやかである。  障子越しに差し込む光で眼を覚ましたこぞうは、昨…

Ryé
4か月前
19

【小説】 西海道中膝栗毛<其ノ一>

一 城に若くて賢い将軍がおりました。 そして、村には若くて花好きのこぞうが…… ……おりま…

Ryé
4か月前
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【ウミネコ文庫挿絵】創作秘話:転天狐舞

“二度あることは三度ある” はたしてこの格言は正しいのでしょうか? 昨年、ウミネコ文庫さ…

Ryé
1年前
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【創作童話】こぞうと将軍 〈其ノ三の三〉

* * * 城では、善次郎と誠之介が膝が突き合わせて話し込んでおりました。 すると、庭の方から犬の声がします。善次郎が縁側の戸を開けると、蘭丸が飛び込んでまいりました。 「おお!蘭丸ではないか!」 善次郎は蘭丸の首に紙縒が結えてあるのに気がつきました。 急いで紙縒を開いた善次郎は、顔を歪めました。こぞうたちはなんとか逃げ出すことに成功しましたが、どうやら追手がかかっているようでした。 ことは一刻を争います。 善次郎は誠之助と目配せを交わすと、すぐさま行動に出ました。

【創作童話】こぞうと将軍 〈其ノ三の二〉

* * * さて、先を行く武蔵丸のあとについて、太郎と次郎と三郎の三人は、やがて隣府の町…

Ryé
1年前
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【創作童話】こぞうと将軍 〈其ノ三〉

* * * 城に、若くて賢い将軍がおりました。 村には、若くて花好きのこぞうがおりました…

Ryé
1年前
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【ウミネコ文庫挿絵】大切なさがしもの:創作秘話

すべての始まりは、ウミネコ文庫さんによる創作童話募集のお話からでした。 ジェーンさんのお…

Ryé
1年前
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【創作童話】こぞうと将軍〈其ノニの三〉

前回までのお話はこちら ↓ * * * さて、萬屋心身堂の八百長右衛門の話によると、薬は…

Ryé
1年前
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【創作童話】こぞうと将軍〈其ノ二の二〉

前回までのお話はこちらから↓ * * * こぞうと将軍はしきりに首をかしげておりました。…

Ryé
1年前
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【創作童話】こぞうと将軍 〈其ノニ〉

城に、若くて賢い将軍がおりました。 ある日の午後、将軍が城内を散歩していると、本草所の前…

Ryé
1年前
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【ウミネコ文庫挿絵】靴をつくる男:創作秘話

先日、ウミネコ文庫さんの甘い潮の香りに誘われて参加した創作童話でしたが、今回初めて「挿絵」というものにチャレンジしてみました。 子どもの頃から絵を描くのが好きで、外で駆け回って遊んでいる時以外は画用紙に向かって絵を描いて過ごしていましたが、子どもから大人になるというのは不思議なもので、かつては神童と呼ばれた童も時間という魔性に神性を削られ、やがて普通の人間になっていきました。 子ども特有の自由な感性はしだいに思い出せない記憶となって泥土に埋もれ、いつしか模倣によって筆を動