Queen Elsaと僕。(Vol.6)
1.はじめに
私は「高身長」「左利き」「セクシャルマイノリティ」と俗に言う”普通じゃない”部類の人間。現在の年齢は30歳で仕事は医療職。一度きりの人生を自分らしく楽しんでいる真っ最中。そんな私が"人と違うこと"で悩み・苦しみ・葛藤し乗り越えたエピソードや医療職を通じて”個性を尊重”することの大事さに改めて気付かされた。上記に関する発信と自分の人生の記録として綴っている。
2.これまでのあらすじ
”人と違うこと”で悩む私は大学生になり一人暮らしという名の”自由”を手に入れた。しかし高校生の思春期真っ只中の頃、涙で顔をいっぱいにした母親に「同性が好きなのか?」と尋ねられ咄嗟に嘘をついて自分を偽ったことがきっかけで、大切な人(家族や友人)に嘘をつき続け、未だ葛藤している最中。そんな中、他の科に同じ境遇の先輩が現れる。だが、クラスメイトは”人と違う”先輩に対し「気持ち悪い」と嫌悪感を抱いている場面を目の当たりにする。まるで、上記の感情が”自分に向けられている”ような心地に襲われ精神的に疲弊し、学校を休みがちになってしまったのであった。
Queen Elsaと僕。
1.荒れ狂う感情の波
「プルルル、プルルル」平日の朝にガラケーの着信音が1Kの部屋に鳴り響く
ディスプレイには◯◯大学◯◯科事務室の文字が流れている。
学校の先生だ。
理由は他でもない、今日も学校を休んだからだ。
先生「Ruwaさん?大丈夫ですか?」
Ruwa「私は同性が好きで、友人が◯◯科の先輩のことを・・・だから私、バレるて嫌われるのが怖・・・」
なんて言えるわけがない。
Ruwa「はい…ちょっとお腹が痛くて、熱っぽくて」
また、嘘をついた。
家ではベッドに横たわり、布団に潜り込んで(高身長のため足は出てた気がするが・・・)ずっと同じことを考える。
自分が”人と違うこと”について
多様性に目を向けられるようになったのはつい最近で、現在(2023年)から約10年前は、誰が決めたのかわからない”普通”に今以上に当てはめられていた時代。
当時の私は「嫌われたらどうしよう」
「大切な人を泣かせたらどうしよう」というネガティブな気持ち。
「自分も恋愛がしたい」
「自分のことをもっと話したい」
「もう自分や大切な人に嘘をつきたくない」というポジティブな気持ちが頭の中を何度も交差していた。
そして、答えの出ない日々が続き、殻に閉じこもっていた。
まるで
激しい感情の波を岸壁にうちつけているかのような荒れ狂う海のようだった
2 .感情の雪解け
葛藤は当面続いていた。クラスメイトや先生も学校を休みがちになり、殻に閉じこもっている私を本格的に心配をしている様子も感じた。
それと同時に私の精神は感情という名の波に崩壊寸前まで削られていた。
「もうダメだ・・・・・」と心が叫び声を上げた。
そして同時期に”とある映画”が公開された。
映画の名は…
ディズニー映画の”アナと雪の女王”だ。
知らない人は少ないと思うが簡単に映画の内容を説明すると、”普通の人と違う”を氷の魔法を使える女王エルサの物語。
当時の私は、その映画に対してあまり興味も関心も無かった。
しかし、メディアで取り上げられていたこともあり、興味本位で観ることにしたのだ。
映画館で1人でポップコーンと大好きなメロンソーダを片手に上映開始を待つ。
周りは子供連ればかり、「小さい子供向けの映画か」と思っていたが、物語が進むにつれて私の心に一筋の光が差し込んだ。
この映画には”人と違う””普通と違う”ことで国民や妹のアナを怖がらせてしまう。嫌われ囚われてしまうことを恐れ、本当の自分を隠しながら生きていく様子が描かれており、最終的には”自分らしさ”を認めてもらうことができて幸せに暮らしていくお話だ。
私はこの映画を見ている最中に涙が止まらなかったことを今でも鮮明に覚えている。
女王エルサの境遇を自分に重ねて観ていたのだ。
そして映画を見終わった後自宅に戻り、もう一度”人と違うこと””普通と違うこと”に悩む自分の心に問いかけた。
”エルサも小さい頃から人違うことに悩んでいたんだ”
”エルサも一人でお城で悩んで葛藤していたんだ”
”エルサはなんて強いんだ”
”エルサはありのままの姿を見せて、受け入れてもらえたんだ”
そして…
”エルサみたいになりたい”
そのような感情が自分に心に芽生え始めた。
そして不思議と布団の中で葛藤していたネガティブな感情は少し減っていた。
気づいたら私は、主題歌をダウンロードしヘッドホンをつけて曲を鳴らしながら家を飛び出していた。
ヘッドホンから流れる”Let it go〜ありのままで〜”の音楽を味方に、当時一番仲の良かった親友の家に向かっていた。
2023.2.28 Ruwa
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