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上海蟹の朝
「鬱っぽくなったらボサノバを聴いて何もすんな!って言われたのでやってみたら、気が楽になったんだけど、何????」っていう趣旨の誰かのポストを、朝、X/Twitterでみた。
私もちょうど、仕事で上司がずっと休んでいることでふりかかる負担!とか、パートさんが悪気なくおせっかいでいらん仕事をどんどん増やすことと!かに、なんかうんざりと疲れて、寝て起きても朝からイライラしていた。
なのでX/Twitterの教えに従い、Spotifyでボサノバを聞いてみることにした。
が、別に…?というかんじだったので、その流れで、Spotifyにあったチルソング集、みたいなのを適当にかけてみたところ流れてきたのが、くるりの「琥珀色の街、上海蟹の朝」だった。
「琥珀色の街、上海蟹の朝」
くるり、だけど、ラップ!妙に癖になるおしゃれなリズム、と韻、そして急に現れる、サビの上海蟹!
聴き終わった後、リピートしてもう一度聴いてみた。やっぱり謎に良い。好き。
歌詞の中に上海蟹や小籠包や中国語が出てくるので、場所は中国と仮定しよう。中国の琥珀色の街、つまり、黄色に染まる街、で真っ先に思い浮かんだのが、10年ほど前に上海に行ったときに見た、外灘の印象的な黄金色の夜景だった。
歌詞に出てくるマンダリンを調べてみたら、上海にホテルマンダリンオリエンタル浦東があり、ちょうど外灘の向かいに位置している。きっとマンダリンホテルの楼上からbeautiful cityの外灘を見て、上海蟹という歌なんだろう、多分。しらんけど。
そして心のトカレフに想いを込めてぶっ放し、窓にあいたヒビ。お前と一緒でみんな弱っていて、その理由は人それぞれ。そしてあなたと一緒に、上海蟹食べたい。
歌詞のほんとの意図は違うかもしれないけど、私にはそういう歌に聞こえた。
「「琥珀色の街、上海蟹の朝」、好きだった!」とXでポストしたところ、pvもいいと教えてもらった。
タイの漫画家の方が書いたイラストのアニメで、ポップな可愛さと抜け感とおしゃれって感じで、とても曲に合っていた。良い。
調べてみたら「琥珀色の街、上海蟹の朝」は、ラップだけど作詞作曲ともくるりの岸田氏、発売は2016年。
私はこの曲を知らなかったけど、「くるりの人気曲ベスト10」みたいなので検索したら入ってるようなかんじなので、有名な曲みたい。
くるりはブレーメンとかワンダーフォーゲルとかのイメージだったんだけど、ラップもあるんや?と思ったら、ラップ曲は珍しい(らしい)。
2016年の岸田氏はどうやら40歳のようで、そこでこれまでとは全然ジャンルの違うラップ曲をつくり、それがサビに上海蟹食べたいで、そして人気曲として愛されている。
ミュージシャンでも、慣れ親しんだ定石だけではなく、新しいものを作る挑戦をして、言語センスを磨き、そしてこんな良いものを生み出しているんだなぁと思った。
翻って自分。
慣れ親しんだ過去と同じやりやすいやり方にとわられているのでは?新しいことやややこしいことが起こるたびに、めんどくさいからやりたくないという気持ちになっているのでは?忙しい状況の自分に胡座をかいているのでは?自分にはまだ工夫や挑戦ができる余地がたくさんあるのでは?
少なくとも今の私では、これまでやってきたこととはジャンルの違うラップ曲を新しく作り、サビに上海蟹を持ってくる歌は作れないな。
そんなことを考えていたら、気分が落ち着き、少なくとも前向きな気持ちにはなってきた。
ボサノバではないけど、チルい音楽の中の1つには心を落ち着かせる効果があったようだ。そして食欲や旅行欲増進の効果も。
いつかまた上海の外灘を歩いて、浦東のマンダリンホテルで上海蟹食べたいね。