見出し画像

色彩に手を浸しながら。

早朝の空に浮かぶ
白い半月
冷えた大気の中に
やわらかな日差しの温もりが
ゆっくりと広がっていく

街路樹の葉の緑は
艶やかさを帯び
足元に咲く花は
紅の色を誇っていた

わたしに見える世界と
貴方に見える世界は
どれくらい違っているのだろう

「綺麗だね」
そうことばにした瞬間に
壊れてしまうものがある

感情も記憶も
無ければ良いのに。
それさえ無ければ
痛みも
流れ出す血も
止めることができる
だから
自らの手で封をした

痛みは治まった
そして
世界は色を喪った

色の無い世界で微睡んでいた
ある日 突然
差し込んできた光

ふり仰いでみると
大空に描かれた
虹のアーチ

その虹は
美しさとともに
耐えがたい痛みも抱えていた

たとえ
自らの心が灼かれるとしても
それでも
その色を取り戻したいと
願ったのだ

手を色彩の中に浸しながら、思う。
美しさと苦しみを
この身に刻みつけることが
わたしの
生の証




この頃、生と死に思いを巡らせざるを得ないことが
色々とあり、自分の気持ちを文章にすることが
難しかったのですが、
詩という形式ならば表現できるのではと考え
書いてみたものです。
(とはいえ、わたし自身は元気ですのでご心配なく…)
上の写真のような空の色も、生きているからこそ
目に映すことができるのですよね。




いいなと思ったら応援しよう!

夏樹
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。 あなたの毎日が、素敵なものでありますように☺️

この記事が参加している募集