コーヒースタンドでの一期一会
雨降りの日曜日に、コーヒースタンドへ行ってきました。
大通りから少し中に入ったところにある、こぢんまりとしたお店。鉢植えのグリーンが店内にたくさん置かれていて、居心地の良い空間です。
壁沿いに長いベンチが据えられており、奥にはテーブルがひとつ。そちらのテーブルには先客の方がおられたので、少しあいだをあけて、ベンチに腰かけました。
雨脚の強まりつつある外をながめながらカフェラテを飲んでいたところ、「雨、きつい?」という声が隣から聞こえてきました。
テーブル席の方が、わたしに話しかけている。
一拍おいてから気がつき、あわてて「ちょっときつくなってきたみたいですね」と答えたのです。
ご年配の方で、どうやらカフェラテとホットサンドを召し上がっているご様子。
白いジャケットにグレーの細身のパンツ、ニューバランスのスニーカー。ショートボブの髪は綺麗なオレンジがかったゴールドに染められ、ネイルの色は紫紅でした。
「近くに住んではるの?」「コーヒー好きなん?」などいくつかわたしに問いかけをした後、「80歳過ぎてて、仕事もしてへんし。用事のないときは退屈やし、ここにコーヒー飲みにくるんやわ」とご自身のことを語りはじめました。
歯切れの良い語り口に、まっすぐに伸びた背筋。
年齢を感じさせない格好の良さがある方だなぁ、と思いながら会話をたのしみました。
雨も小降りになってきたし、そろそろ帰ろう。
会話が少し途切れたところで席をたつと「気ぃつけて。またね。」と、笑顔で手を降って下さったのです。
家に帰る道すがら、わたしもあんなふうに年をかさねていけるかな、と思いました。
自分の好きな格好をして、ふらっとコーヒーを飲みに出かける。
コーヒーを飲みながら、お気に入りの本をゆっくり読めたら幸せだな。
たとえば50年後に自分がどんな人生を歩んでいるのか、
今は想像がうまくできないけれど。
ささやかなことでも、自分が好きなことを楽しめていると良いな、と思いました。
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