「競争の番人(第9話)」目指す敵の過信に対し、どう斬りこんでいくのか?
クライマックスに向かって、やっと全員で動き出したという感じ。ここに持ってくるのに、少しインターバルみたいな感じになっていたのは、やはりドラマ作りとして、ダメだろうと思う。昨今は、そんな流れを気にする方も少ないということだろうか?テレビドラマが視聴率10%いくかいかないかという世界の中で、ドラマを見続けてる人はどのくらいいるのだろうか?世の中を動かすほどの作品が現れるような環境ではないが、作り手の皆さんには、もう少し意地見たいなものを見せてほしいと思う私である。そう、緊張感のあるワンクールのドラマを作ってほしいのだ。
前回の寺島しのぶの負傷から、彼女が、ずっと官僚の小日向文世の懐にも入りながら、談合の調査を続けていたことがわかる。そして、彼女の持っていた資料から、小日向の娘と接触、小日向の部屋の不法捜査が叶うが、その時に彼が帰還してきて、何とか、彼の背広に隠された談合場所と思われるメモを見つける。この流れ、見ていて「そうなるのだろうな」と思ったし、それ自体が小日向の罠だったとは、まあ、定型的な仕掛けだが、これにより、小日向の腹黒さと用意周到さがわかる。
ラストの坂口と小日向のやりとり、そして小日向の絶対的な自信。このいやらしい官僚に対し、何もできない坂口という構図。こういうのは、リアルな官僚世界でもあるのだろうなと思える。そして、ある意味、善悪の比率で言うと、昨今は悪の比率が高くなっているようにも見えるのが今の日本。そろそろ自浄作用が働くと私は思っているが、こういう小日向みたいな悪役をドラマに出すのもその自浄作用の前振りなような気もする。
とにかく、今回のクライマックスになっていた、喫茶店の談合現場は、違う案件の談合の席だったと言うカラクリ。そして、必要のなくなったというか、自分に火の粉が降りかからないように、手懐けた談合仲間を逮捕する冷たさ。ある意味、悪の官僚世界は、ずる賢い反社組織に似ている。仲間を平気で売り、そして、自分の利権のためにはとことん、自分が見えないように二重三重の壁を貼る。こう言うのを見破り、世の中に知らしめるのが、公正取引委員会の役目ではあるが、実際には彼らも取り込まれる恐れがある。だから、小日向は寺島と懇意にしていたのだろう。
小日向の汚れた仮面を引き剥がすのは、これからと言うことになったわけだが、小日向が、それなりに動きを知った以上、なかなか隠された壁をぶち破るのは難しいと言うところ。小日向をどう、ギャフンと言わせるのか?小日向の芝居自体がなかなか憎たらしいので、自分に矢が飛んできた時にどのような表情をするのか、お楽しみではある。
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