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「競争の番人(第10話)」談合という仲良さげな、競争阻害が社会劣化につながるということの理解

今回が最終回ではないので、小日向文世を追い詰めるのは次週かと思ったら、今回で決着してしまった。そして、坂口健太郎は愛媛に飛ばされたのに、まだ次週に続く。予告を見ると、愛媛での話らしい。もう、このドラマ、連続ドラマとしての構成の体をなしていない。やはり、最後は小日向が捕まって終わりだろう。終わらないから、今回の最後に小日向に「談合は無くならないよ」と言わせたのか?構成のメチャクチャさが、ドラマの質感をダメにしているのは確か。坂口や杏のキャラの魅力はそれなりにあったので残念である。まあ、個人的に良かったのはお気に入りの大西礼芳さんが検察役で毎回出てきてくれたところくらいか?まあ、総括は来週があるので次回に回しますが…。

だいたい、公正取引委員会を題材にして、小説にするのはわかるが、それをドラマにはしにくいということがよく分かりましたよね。その、ほとんどの仕事が物読み。刑事でないから、逮捕もできないし、実際に追い詰めても自分達だけでは解決に導けないというのが、見ていても歯痒いのだ。

そういうことを明確にするために、刑事だった杏が異動になって、新しい世界を見るという感じの導入だったのだろう。寺島が、部下たちをどういう基準で選んだかという話が出てくるが、そのキャラはそのままにちゃんと演じられていた。その中でも、小池栄子は本当にドラマのエッセンスとしてうまく演じることができている。大河ドラマで北条政子を演じるようになるとは、10年前には誰が思ったことか?まあ、エンタメのあり方も変わってきて、それについてきた感じですよね。

そして、今回の最後の対決。一応の決着を付けてから、小日向を落とすというやり方。まあ、逃げられたら困るということでこういうやり方を取ったのだろうが、逮捕できない公取にあっては、こういうやり方が本当にあるのだろうか?追い詰めれば、録音録画ができる昨今は自白の証拠をどこでも取れるというのもありますけどね。そして、追い込まれた小日向が、あまりジタバタしないのは、結構な大物感があった。だが、もう少し腹黒い感じでも良かったですね。

小日向自体が、元々は談合が嫌いで、競争を促していた立場にいたというのは面白い。そして、競争を促したことで問題が起き、談合を推進するようになり、そのために法律も変えようとしたという流れ。その点気になったのが、阪神大震災で、競争に任せたために、耐震基準に満たない建物がいっぱい建ってしまっていたという失敗があった。

だが、この理屈もよくわからない。談合で決めれば、こういう事故がなくなるかといえばそうではない。全ては設計者と施工者の倫理の問題である。そういう点をぼかしてあるのが、私的にはしっくりこなかった。

今、昨年のオリンピックの賄賂の問題が浮上しているが、談合にしてもその傍らで金が流れるわけで、似たようなものだ。利権を持ったものの欲望があるからこういうことが起こる。そう考えると、こういう問題は無くならないだろうし、公正取引委員会も必要だがなかなか力を発揮できないし、それ自体が世の中のためになっているかはグレーな部分もあるわけだ。このドラマの題名は「競争の番人」である。番人の基準は法律なのだろうが、その立法の職にあるものが、賄賂を平気でもらってしまう時代だ。色々と、考えてしまいますよね。


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