「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」アクション映画というジャンルの日本映画であることの嬉しさ
一作目は、ファブルという殺し屋が、殺しができなくなってどう生きるかという部分の面白さを描いていたため、少し説明が多い難点と、最後のアクションシーンは迫力はあるものの、観ていて焦点の絞れない感じの部分があり、「もっと面白く作れるだろう」と思ったりした。だからかもしれないが、この2作目はなかなか面白かった。日本でまだこういうアクションが作れるということも確認できたし、こういう派手なものもっと作って欲しいと思うのは私だけだろうか?しかし、東映じゃなくて松竹がこういうのに絡んでるんだものね、会社がどういうジャンルが得意とかもないんだよね。
岡田准一のアクションは、キレが良いので心地よい。もちろん、日常の朴訥さみたいなキャラが、アクションに切り替わるときに一気に変わることもあるのだが、ある意味、身体が小さいところを有効利用している感じ。もちろん、スタントも使ってるし、VFXによる部分もあるのだが、見ていて気持ちよかった。
特に、ラス前のアパートの足場でのアクションのスピード感はなかなか。これで、人を殺さない殺し屋もないものだとも思うが、飽きずに最後の少女救出まで魅せて頂いた。
偽の妹役の木村文乃も、出番は少ないまでも、アクションシーンはぴたりとハマっていた。安藤政信相手の部屋内のアクションは緊張感あったし、只者でないところも演技でしっかりと見せてくれた。この人は、見た目より器用なのだと思う。もっと派手な役を与えたらいいと思うのだが?
そして、ゲストの平手友梨奈はここでも見せてくれる。もう、その眼力は只者ではないが、感情がそこに出てくるのが見ていて心地よい。今出ている「ドラゴン桜」より、少し前の平手だが、今の方がさらに鋭い感じに見える。つまり、どんどん成長しているのだ。今後、彼女主演で何が撮れるのか?いろんなアイデアがオファーされてくると思うが、良い企画の中でカッチョいー映画を作っていただきたい。
そして、悪役は堤真一。インチキNPO法人で詐欺をやって稼いでいるような男が普通にできてしまうところが、彼の役者としての面白さであろう。最後まで、黒い雰囲気を漂わせ殺されていくような役を格好つけずにできてしまう感じは、岡田の相手役としてはピッタリだった。バットマンじゃないが、こういう話は、悪役が狂気を発散させているほど面白い。
2作目で、この作品、エンタメの完成度としてはすごく高くなったと思う。初めの作品を見ていないと、主人公は誰なのか?とか分からない人は多いだろうが、そんなことは考えずに、2作目として全力が注がれているところは気持ちよかった。それなりにヒットしているようだが、まだ、シリーズを続けて欲しいと思ったりする。最近、そういうの日本映画でないですものね!アクションを目一杯、試せる場としても、そういうのは重要なことだと思う。