山田健人(ラニーノーズ)

怖い小説

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タクシー(運転手と女)

―運転手― 「こんな時間にこんな場所で、何をしてたんだ?」 夜も更けた頃、山のふもとでは タクシーの運転手である松本が 1人の女を乗せようか迷っていた 「なんか、不気味だなぁ」 ボロボロに汚れた白いワンピースに乱れた髪の毛 長い前髪のせいで目は完全に隠れていて顔がよくわからない 手をしっかりと上に挙げるわけでもなく、微妙に顔の前に突き出している 正直見るからに怪しい雰囲気を醸し出していた 「こいつ・・・・幽霊じゃねぇか?」 時刻は2時 丑三つ時 職業柄、こういった

    • やばいファン

      「ゆき、急にどうした?なんだ話って」 「お父さん、落ち着いて聞いてね。 私、結婚したいの」 「け・・結婚したいってお前、彼氏はいたのか」 「ううん。お付き合いはしてないけど、急にプロポーズされたの」 「そんなの駄目だ! まずは付き合って、その人のことをよく知ってからの方が・・・」 「大丈夫!私はその人のことずっと大好きだったから、とっても嬉しいの!昔から応援してたから」 「応援してた・・・って、何をしてる人だ?」 「ミュージシャン」 「駄目だ駄目だ!!音楽で

      • 一人暮らし

        私の名前は山崎香、26歳 一人暮らしのOL 最近犬を飼った。フレンチブルドッグ 名前はシゲ         ペットを飼うのは2匹目 昔から人とのコミュニケーションが苦手 外でも常に人目を気にして生きている そんな私に恋人なんてできるはずもなく 寂しさを紛らわすためにペットを飼った 今では犬と戯れている時間が一番幸せを感じられる シゲは可愛い とても可愛い ”この子が言葉を話せたらいいのにな” 可愛さのあまり そんなバカみたいな願望が生まれてしまった いつも家に帰

        • 生霊

          私には悩みがあります それは同棲している彼氏に関係するものです 彼、カズヤはお笑い芸人をしています 爽やかで顔立ちも良いので女子に人気があります 歌も上手くてダンスも踊れて 欠点がありません 強いて言えば 「土踏まず」がないぐらい 一緒にプールに行ったとき、プールサイドを歩いたら足跡がくっきりと残るので少し恥ずかしかった記憶があります それ以外は完璧 そんな彼氏を持ってるから 女性問題で悩んでるのかって思われそうですが そうではありません 彼は女遊びをせず、

          これは俺が昔体験した少し奇妙なお話 9月上旬 時計の針はちょうど夜10時をさしていた 俺は1人、バーでグラスを傾けていた するとそこへ 1つ空けた隣の席に綺麗な女性が座った 真っ赤なマフラーをしているのが特徴的だった 少し肌寒くなったとはいえ まだまだマフラーは早い 不思議だった 声をかけずにはいられなかった 「すみません、よく来るんですか?」 「…えぇ、...たまに」 「冷え性なんですか?ここ、そんなに寒いかな」 「あぁ、マフラーですか?よく聞かれるんで

          こっくりさん

          たかしとは昔からの幼馴染だった あれは中学3年生の頃 たかしが突然「こっくりさん」をしたいと言ってきた 遊び半分でやってみた それがまさか あんなことが起きるなんて 「ゆうや!みんな帰ったし、そろそろ始めようか~!」 嬉しそうにしているたかし 「お前ホントこういうオカルト好きだな~」 放課後、誰もいない教室はいつもより不穏な空気を醸し出していた 「あんまり知らないんだけど、どうするんだっけ?」 「知らねーのかよぉ!まず“あ~ん”までの50音と鳥居の絵をかいた紙を用意する

          双子

          私には麻衣という双子の姉がいました。 一卵性双生児なので、瓜二つ。 親もたまに間違えるほどでした。 姉には子供がいました。 10歳になる百花という娘。 百花はある日、足を滑らせて階段から落ちてしまいました。 百花は死にました。 「由衣、百花はあなたにすごく会いたがっていたのよ」 私は仕事の都合で故郷から離れていたため、百花が物心つく頃には疎遠になっていました。 結局彼女とは言葉を交わせないままでした。 麻衣は泣きながら私に言いました。 「ねぇ由衣。今夜ここで一緒に過