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原点~上橋菜穂子という作家2~

上橋菜穂子さんが書く作品は自然の描写がとにかく繊細で美しい。エリンの次に読んだ「守り人(もりびと)シリーズ」の闇の守り人の冒頭は何度読んでも好きですね。


闇の守り人
〜洞窟を抜けるシーン〜
バルサは、山の精気がたっぷりとしみこんだ水のにおいにつつまれて、もうずいぶんと長いこと立ちつくしていた。この高みからは、大地のしわのように、いくえにもかさなった青霧山脈がみおろせる。暑く、雨の少なかった夏がすぎ、山の緑は、少し色あせはじめていた。(闇の守り人 偕成社第7版 p8)より


このシリーズはこの世ともう一つの重なる異界(精霊世界のようなもの)の二つの世界が舞台になります。

そこで描かれる描写は圧巻です。こんなにも風景を、自然を豊かに表現できる人がいるんだと衝撃を覚えました。


小さい頃、守り人シリーズはエリンよりも話の内容も濃く、さまざまな人物の視点で描かれるためすぐには理解出来ませんでした。大人になって複雑な人間関係、国と国の立ち位置をようやく理解しました。


そして自然の描写だけじゃなくて

登場人物達の"人としての深み"

にはまりました。


以前、上橋菜穂子さんが小説を書き始めたころ日常のあるシーン、自分が書きたいというシーンを自分の言葉で細かく描写することからはじめた。

とおっしゃっていました。ひとつひとつのシーンの描写を大切にしたいなと思うんです。


余談なんですが、私はこのシリーズに登場する食事を再現してみたというのが好きです。(バルサの食卓) その関係で海外の高山地域の食べ物に興味を持ちました。
この作品、カタカナ多いんです。正しく発音できる人いるのかな。



読んでいただきありがとうございました。


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