法の下に生きる人間〈第68日〉
食品衛生法は、全11章から成り、条文は第89条まである。
1948年(昭和22年)のクリスマスの前日(12月24日)に公布され、1週間後の元日(1月1日)に施行された。
本当の話である。
それから、今日まで丸75年が経つわけだが、これだけ歴史が長いというのは、私たちの生活や人生に深い関わりがあるという証である。
ところで、この法律の第4章は、第19条と第20条の2つだけの条文で構成されているが、今日は、そのお話をすることにしよう。
【第十九条】
内閣総理大臣は、一般消費者に対する器具又は容器包装に関する公衆衛生上必要な情報の正確な伝達の見地から、消費者委員会の意見を聴いて、前条第一項の規定により規格又は基準が定められた器具又は容器包装に関する表示につき、必要な基準を定めることができる。
② 前項の規定により表示につき基準が定められた器具又は容器包装は、その基準に合う表示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。
③ 販売の用に供する食品及び添加物に関する表示の基準については、食品表示法(平成二十五年法律第七十号)で定めるところによる。
【第二十条】食品、添加物、器具又は容器包装に関しては、公衆衛生に危害を及ぼすおそれがある虚偽の又は誇大な表示又は広告をしてはならない。
以上である。
昨日の記事で紹介した条文は、厚生労働大臣が主語だった。今日は、内閣総理大臣である。
内閣総理大臣が何を決めるのかというと、私たち消費者がお店で買う商品の包装袋やラベルに記載されている内容に関する基準である。
そして、次の第2項で触れているとおり、その基準に合った表示がなければ、販売してはいけないと定めている。
さらには、販売の用に供する食品及び添加物については、別に制定された「食品表示法」が定めている基準に従うようにと第3項で定めている。
この食品表示法の制定は、カッコ書きで示されているように、平成25年に公布されたものである。
ただ、実際に施行されたのは平成27年(2015年)なので、まだ8年ほどの歴史しかないのである。
なぜ、食品表示法が最近になって定められたのかというと、私たちの健康志向が高まってきたからである。
健康のためにウォーキングをしましょうとかヨガをしましょうなんていう呼びかけは、私が子どもの頃は、そんなに聞かなかった。
食品も、特定保健用食品とか栄養機能食品なるものが普及してきたが、中には、効果が眉唾ものもある。
そのために、第20条で、「虚偽の又は誇大な表示又は広告をしてはならない。」という旨を定めているのである。
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