あなたのハグは求めていない
忘年会シーズンとなると気をつけたいのは、酒の飲み過ぎだけではない。
「私は酒は飲まないので大丈夫」と言っている人も、特におっさんは気をつけなければならないことがもうひとつある。
私たち日本人は、外国人とはちょっと違い、挨拶代わりにハグすることはあまりない。
逆に、日本人の握手が、挨拶代わりとしては受け入れられない外国人もいる。
お互いに文化を尊重しあい、ケース・バイ・ケースでハグや握手が使われるのは良いことだ。
しかし、同じ日本人同士となると、そんなにハグするほどのことかと思う場面で、やたらハグする人がいる。
部下の女性に感謝の気持ちを伝えられて勘違いしているか、もしくは、そもそも下心丸出しなのか、いい年した管理職のおっさんによくある傾向である。
私は、相手がハグを求めてきたら応じるが、自分からハグすることは今までしたことがない。
最近は、ハラスメントでうるさくなっている。
そんなつもりでハグをしたんじゃないとか、心外だと言わんばかりに憤っている(それも自己保身のパフォーマンス見え見えなのだが)おっさんがいるが、昭和の時代が良かっただけだ。
そういう場面に遭遇すると、「いい加減に気づけよ」と私も苦々しく思うのだが、黙って見ているのもよろしくない。
被害者にとっては、傍観者も敵なのである。
ハラスメントを止める方法は、「やめろよ。ハラスメントだぞ。」と、あからさまに言ってしまうと、加害者も被害者もあまりいい気持ちはしない。
だから、機転を利かせて、いったん会の場を仕切り直すちょっとした企画や懺悔トークを急きょ入れるなどして、時間稼ぎをする。
そして、同じ女性の方がいたら、さりげなく当事者とコンタクトを取らせて、別の席へ移動したりするチャンスを作る。
ハラスメントで訴えられたときに、「そんなにイヤな顔をしていなかった」というのもよく聞く言い訳である。
私たちがお得意様との関係を良好に保つのと同じように、少々不快なことがあっても、部下は上司にあからさまに顔に出すことはしない。
「営業の顔と一緒だ」と心得るべきである。
昭和の時代が良かったといまだにグチグチ言っているおっさんは、一度、同世代のおばはんにそれを言ってみたらよい。
「時代が変わったのに、変われない男は情けないわね。」と言われるのが目に見えている。
今やICTのスキルなどは若手の方が断然優位であり、何年生きていようが、年功序列の上下関係はもう古い。
今を生きる若い世代のトレンドにさりげなく精通しているだけでよい。
無理なスキンシップは、いらないのである。