法の下に生きる人間〈第19日〉
日本では、78年前の広島・長崎での原爆被害以来、大規模な爆撃を受けたことは、これまでにない。
しかし、ウクライナの人たちが、ロシアによるミサイル攻撃を受けたときに地下鉄の駅に避難したように、日本でもいざというときに身を寄せることができる「避難施設」が必要である。
国民保護法の第148条では、次のようなことが定められている。
【第百四十八条】
都道府県知事は、住民を避難させ、又は避難住民等の救援を行うため、あらかじめ、政令で定める基準を満たす施設を避難施設として指定しなければならない。
この避難施設について、内閣官房の国民保護ポータルサイトでは、都道府県ごとの数を公開している。
また、内訳として地下施設の数についても明らかにしている。これらのデータは、全国の自治体が国の要請のもとで調査を行い、国に報告したことで得られたものである。
それを見ると、自分の居住している都道府県には、いくつの避難施設があるのかが分かる。
驚くべきは、石川県が地下施設が全国で最も多いのである。しかも、大都市東京は、石川県に次ぐ2位である。
逆に、秋田県は、避難施設として指定されている地下施設がゼロである。(令和4年4月時点)
そのほかにも、大規模地下緊急一時避難施設も公表されており、地下鉄の駅や地下街、地下通路が一部の都市で指定されていることが分かる。
こういった情報を日頃から収集しておくと、外出時に武力攻撃事態が発生しても、すばやく指定施設に身を隠せるわけである。
ただ、武力攻撃は、ミサイルだけとは限らない。
忘れてはならないのは、28年前の東京での地下鉄サリン事件である。
2000年に「西鉄バスジャック事件」が、17才の少年によって起こされたのも記憶に新しい。
最近でも、小田急や京王電鉄など、走る電車内での刺傷事件が起きている。
これが、大規模テロだったらどうなるかという想像力も必要になってきている。
夏休みに各地で開かれる花火大会もそうである。
会場に人がたくさん集まっている状況で、しかも夜にテロが起きたらどうすればよいのか。
いざというときに逃げ場が確保できるような場所を選ぶのも大切だし、何も会場まで花火を見に行かずとも、近くの高層ホテルの客室からのんびりワインを飲みながら楽しむ方法だってある。
「楽しむのは、こうでなければならない。」という固定観念を捨ててみると、安全・安心な日常生活を送る工夫はいくらでもできるものなのだ。