不審者教育の転換
子どもが学校で、不審者から身を守りましょうと教わるとき、たいてい、不審者役の先生の身なりは、黒のサングラスにマスクである。
ところが、コロナ禍でマスク着用が定着すると、「マスクを外している人が不審者」だという思い込みに変わっている。
そもそも、黒のサングラスにマスクしている人が「不審者」であるという決めつけ自体がおかしいのであるが、銀行強盗など悪さをする人が自分の顔がバレないように隠す手段として使われていることは事実である。
では、マスクを外している人は不審者であるという子どもたちの思い込みを払拭していくにはどうしたらよいか。
重要なことは、「人は見かけで判断するな」である。
実際、詐欺容疑で捕まる若い人をテレビのニュースなどで見ていると、いかにもお年寄りが信用しそうなイケメンだったり、さわやかなスーツ姿だったりする。子どもだって、「かっこいいお兄ちゃん」とか「やさしそうなお兄ちゃん」と信用しそうである。
女性にしても、男に騙される人は、外見やちょっとした優しさに心を奪われてしまっている。本当は、「イケメン=良い人」であるはずがないことは分かっているのにである。
そうした事実を、子どもにもテレビのニュースの映像などで見せながら、「親切に教えてくれたから良い人だ」とは限らないことを教えていく。そういった積み重ねが、学校だけではなく家庭でも必要である。
そもそも、家族のように長い間付き合っているわけでもないのに、その人の本性など分かるわけがない。
そこが、人間の愚かさなのかもしれない。