法の下に生きる人間〈第53日〉
食品ロス削減推進法の第5条及び第6条には、事業者の責務と消費者の役割について、それぞれ書かれている。
今日はまず、その条文を読んでみよう。
(事業者の責務)
【第五条】
事業者は、その事業活動に関し、国又は地方公共団体が実施する食品ロスの削減に関する施策に協力するよう努めるとともに、食品ロスの削減について積極的に取り組むよう努めるものとする。
(消費者の役割)
【第六条】
消費者は、食品ロスの削減の重要性についての理解と関心を深めるとともに、食品の購入又は調理の方法を改善すること等により食品ロスの削減について自主的に取り組むよう努めるものとする。
以上である。
事業者と消費者では、同じ取組努力であっても、「積極的に」と「自主的に」で表現が違っている。
ただ、おもしろいのは、消費者に対してのほうがやや具体的に努力内容について言及している点である。
「食品の購入又は調理の方法を改善すること等により」食品ロスの削減に取り組むのである。
調理の方法にまで口を出しているのは、ちょっと意外であるが、例えば、どんな工夫があるのだろうか。
その前に、食品ロス削減推進法の第2条第2項で、「食品ロスの削減」について定義がされているので確認してみよう。
【第二条】※第1項は略。
2 この法律において「食品ロスの削減」とは、まだ食べることができる食品が廃棄されないようにするための社会的な取組をいう。
上記の文言によると、「まだ食べられる食品を捨てるな」ということになるのだが、賞味期限はともかく、消費期限が切れたものについて、調理の工夫をすることで、食べても大丈夫なようにしなさいということなのだろう。
卵かけご飯に使う卵をうっかり期限切れまで冷蔵庫に放置していたならば、卵焼きを作るなり、溶き卵を入れて雑炊を作るなり、工夫することができる。
また、炊いたご飯が余ったのに冷蔵庫に保存し忘れて、少々痛みかけているか心配だったり、サンドイッチ用の食パンに小さなカビがついてカビ部分の除去だけでは安心できなかったりする場合は、古くなった卵とともに、それぞれチャーハンやフレンチトーストづくりに活かすことができる。
こういったアイデアを楽しんで出せれば、個人レベルでの食品ロス削減は意外と進むのではないだろうか。
(表彰)
【第十六条】
国及び地方公共団体は、食品ロスの削減に関し顕著な功績があると認められる者に対し、表彰を行うよう努めるものとする。
表彰するよりかは、アイデアのSNS投稿に対してポイントを付与するサービスを事業者が提供するのもよいのだが、果たして大きなムーブメントは起こるだろうか。