救急車の使い方
最近のニュースを見ていると、時代も変わったものだと思う。
救急車をタクシー代わりに頼む人とか、サイレンを鳴らさずに来てくれと頼む人がいると聞いて、本心ではあきれ返った。
本当に救急病院に一刻も早く搬送する人のために、救急車はある。
そして、そのためには、現場に急行したり、速やかに受け入れ先の病院に送り届けたりする必要がある。その目的を達成するためには、道路を空けてもらう必要があるからサイレンを鳴らす。
私は、大人になってからは完治して元気であるが、子どもの頃は、よく喘息で苦しんだ。夜中に救急車で運ばれたことも何度かある。
救急車がつかまらないときはタクシー、タクシーがつかまらないときは親戚に頼んで車で病院まで送ってもらったことがある。
そういった事情を抱えて、本当に切羽詰まっている人がいるのに、タクシー代わりにとか、サイレンを鳴らさずに来てくれとは何事かと私は怒る。
自分が、本当に苦しんだ経験のある当事者だからだ。
私のような経験をしていなくても、このコロナ禍で、多くの人が学んだはずだ。
コロナ患者であるがゆえに、受け入れを断られて、たらい回しにされて、挙げ句に手遅れで死んでしまった人がいたということを。
サイレンを鳴らして、夜中に自宅に来たっていいではないか。それを周りが迷惑と思うなら、私はそう感じる人がおかしいと言う。
腹痛で救急車を呼ぶのではなく、まずは休日や夜間対応の最寄りの医療機関に電話をする。そうすれば、医者や看護師が、しかるべき対応を取ってくれるし、救急病院への取り次ぎだってしてくれる。
近くであれば、訪問診療に駆けつけてくれるところもある。24時間対応のオンライン診療だってある。
今もどこかで急病人が病院に運ばれていることを想像して、本当に救急車が必要なのか、冷静に判断できるようにしてほしいものである。