法の下に生きる人間〈第92日〉
昨日の記事で紹介した国家賠償法は、実は、日本国憲法第17条に基づくものになっている。
【第十七条】
何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
公務員個人ではなく、国又は公共団体に賠償を求めることができる旨、ここにも書かれている。
今日は、逆に、日本国憲法の条文からある法律につながる例を挙げよう。
生活保護法である。
この法律は、日本国憲法第25条に基づくものになっている。
【第二十五条】
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
以上である。
日本国憲法第25条では、国民の生存権が保障されており、この理念に基づいて、あらゆる施策が行われている。
では、具体的にどのようなことが生活保護法に定められているのだろうか。
第7条から第10条にかけて、4つの原則が謳われている。
(申請保護の原則)
【第七条】
保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始するものとする。但し、要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる。
(基準及び程度の原則)
【第八条】
保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。
2 前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。
(必要即応の原則)
【第九条】
保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。
(世帯単位の原則)
【第十条】
保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。但し、これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる。
以上である。
さらに、第11条では、生活保護の種類として、次のハつが挙げられている。
①生活扶助
②教育扶助
③住宅扶助
④医療扶助
⑤介護扶助
⑥出産扶助
⑦生業扶助
⑧葬祭扶助
これらハつが、具体的にどのような扶助なのかは、第12条から第18条まで、個別に説明されている。興味がある方は、ご自身で調べてみるとよいだろう。
条件に該当すれば、単給ではなく併給(=2つ以上の扶助を受けること)も可能である。
ただし、第7条に「要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始」とあるように、申請がなければ扶助は受けられない。
明日は、どのような方法で扶助がなされるのかをみていこう。
窓口は、福祉事務所等である。