身につけたい清掃習慣(16)
古本屋に行くと、ときどき見る光景がある。
店主がハタキを持って、高いところにある本から順番にホコリ落としをしている。
絶版になって売られていない本や、図書館には置いていない本など、数少ない貴重な本は、売り物にならなければ置く意味がなくなる。
特に、表紙が破れかかっていたり、皮脂で黄ばんでいたりする本は、ちょっとした湿気やホコリであっという間に傷みやすい。
古本に限らず、本は湿気やホコリに気を遣う。人の手に取られたら、皮脂もその都度つく。また、直射日光や蛍光灯の熱などで、表紙がやけることもある。
同じことは、私たちの住居の中でも言える。
特に、外からの日差しが入り込む部屋は、壁のクロスが日焼けする可能性が高い。白いクロスがそこだけ変色するのは、なるべくなら避けたいところだ。
障子や襖の紙も、しかりである。
だから、特に日差しが強く暑い夏などは、すだれをベランダやテラスの窓に掛けておくだけでも違う。
ホコリに関して言えば、冷蔵庫の上やテレビの裏側は、ハタキで落とさずとも、週に1回は、台ふきんなどで拭いておくと良いだろう。
家の中を見回して、いつの間にか、壁や窓際などの汚れが目につくようになったら、それは掃除をしていないという理由だけではなく、太陽や電灯の光や熱、室内の湿気が影響しているのである。
加湿器を部屋の中で毎日つけていたら、天井や壁は湿気だらけだと思ったほうがいいだろう。
喉のケアのために加湿器を置くことは否定しないが、その分、掃除にも気を遣わなければいけないということなのである。
性格上、定期的に掃除するのが難しければ、加湿器の稼働時間を短縮するとか、加湿器以外の代替手段を検討してもよいだろう。
浴室からの蒸気、台所やストーブでの湯沸かしの蒸気など、加湿器がなくとも十分な湿度が確保できる時間帯はある。
そういった総合的なものの見方が、ハウスキーピングに役立つのである。