ブレない基軸を持つ者たち 読書考『フェイク・マッスル』
『フェイク・マッスル』は、ミステリー小説だが、理想を追いかけながらも中途半端だった主人公が、人気アイドルのドーピング疑惑を通じて一人前へと成長する物語でもある。やりたいことと出来ることが一致しない人にとっては、心に響く話で、読後には前向きな気持ちになれる。第70回江戸川乱歩賞を受賞。
作中では、貴島という先輩記者が、主人公の松村に暗唱した三島由紀夫の言葉が印象的だった。
この言葉の意味を考えながら読むと、作中のキャラクターたちが「善なのか、それとも偽者か」が浮かび上がってくる。それぐらい登場する人物たちの行動や言動は、良くも悪くもブレていない。ミステリーであるため、一度読むと答えはわかってしまうが、これから読む人は、三島由紀夫のこのメッセージを念頭に置いて物語を推理してみると、さらに面白さが広がるだろう。
また、私はアントニオ猪木のファンでもあるため「元気があれば何でもできる」という言葉を思い出した。「元気」という言葉には、健康な肉体と精神の両方が含まれている。一心不乱に夢中になるには、心も体も真っ当であることが大切なのだと改めて感じた。
真っ当な方法かどうかはわからないが、ズボラな私はとりあえずサウナに行って整ってこようと思う。
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