ブレない基軸を持つ者たち 読書考『フェイク・マッスル』
『フェイク・マッスル』は、ミステリー小説だが、理想を追いかけながらも中途半端だった主人公が、人気アイドルのドーピング疑惑を通じて一人前へと成長する物語でもある。やりたいことと出来ることが一致しない人にとっては、心に響く話で、読後には前向きな気持ちになれる。第70回江戸川乱歩賞を受賞。
作中では、貴島という先輩記者が、主人公の松村に暗唱した三島由紀夫の言葉が印象的だった。
この言葉の意味を考えながら読むと、作中のキャラクターたちが「善なのか、それとも偽者か」が浮かび上がって