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SoRとSoEが体現する ITは森のバロックへ

1995年ごろ、社内のコンピュータシステムのデータベースに会社の仕事が「金額と数量」にどんどん変換されて、保管され出して、同時に通信のネットワークが広がっていくのを目の当たりにして、「コンピュータは古代っぽい」と感じていました。

それは、サーバーとクライアントの関係。例えばセッションをとるとき(やりとりを開始するとき)に、クライアント側から「つながっていいですか?」とサーバーに尋ねて、サーバーが「いいですよ」と応えて、クライアントが「応えてもらって、よかったです」と返事してから、双方のやりとりができるようになります。サーバー側から先にクライアントに話しかけたりはしないのです。

これって、古事記のイザナミとイザナギの国生みの時に、女のイザナミから先に、男のイザナギに「ステキな人」と声をかけたことにダメ出しをされて、その後にイザナギ(男)からイザナミ(女)に声をかけたのでうまくいった。ことと似ているなぁ、とか。

そう。女はサーバーっぽい。

他にもいろいろありますが、ネットワーク越しに遠隔のデータにアクセスしたり操作したりするのは、超能力みたいだし、何重にも警備されて冷房が完備された、ディスクが何本も並ぶサーバールームは殿上人の世界のような気配もして、「古代っぽい」と思っていました。

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ITの世界には、10年ほど前に提唱されたSoE(Systems of Engagement)という考え方があります。アマゾンのITシステムを、その動きから想像すると、このSoEの考えを先鋭的に実践していると思うのですが、実際このSoEを提唱した人は、なにを背景にこのことを考えたのだろうと読み込んでみました。

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