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短編小説集

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日常に、少しの彩りと刺激を。
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『沈黙と思いやりのあるパン屋さん〜吃音について〜』

「……っ、……、……お、……っ、……、……」  焦れば焦るほど、口から言葉が出てこない。…

95

サンタのためのクリスマス

「思い出たくさんのこの書店も、もうすぐ閉店か……。だいぶ前から決まってたこととはいえ、そ…

70

『本の世界は今日も晴天なり』

 本の世界に没入すること。それには、仕事や学校、家事や子育てなど、現実で起こる全ての憂鬱…

161

『時間旅行が繋ぐもの』

 タイム・マシン。タイム・トラベル。タイム・スリップ。  これが実現すれば、どんなに楽し…

64

「誰かにとってのヒーローは」

ヒーロー。意味は、敬慕の的となる人物。つまり、「英雄」である。  ※  中野俊介は、天博…

120

『死んでしまうとは、情けない』

夜のニュース番組。会社でのストレスに耐えきれず、会社員が自殺してしまったというニュースが…

126

受け継がれゆくもの

 私は書店で働いている。小さな街にある、小さな書店。  子供の頃から本の虫であった私は、大きくなったら必ず書店員になりたいと思っていた。仕事なので楽しいことばかりではないが、一つの夢であった書店員になることができたということもあり、それなりにやりがいを感じながら働けている。  近年では書店が街から消えている。特に中小規模の書店、いわゆる「街の本屋さん」は、厳しい状況に置かれているといえるだろう。  もちろん、私が働いている書店も例外ではない。書店員になって5年くらい経つ