読んだ小説を褒めながら紹介するnote ~『高嶺の花には逆らえない』篇~
青春ラブコメモノに定評のあるガガガ文庫さん。
……コイツぁ、ヤベエのを出してきましたな。
ってなわけで、(当社比)矢継ぎ早の『読んだ小説を褒めながら紹介するnote』です。
書影など。
\どーん/
挑戦的に見下ろしてくる(見下してくる?)のは本作ヒロイン。
高嶺の花のお名前は立花あいり。
イラスト担当はここあ先生。
著者は冬条一先生。
執筆2年目でのリリース。
お見事。
『高嶺の花には逆らえない』とは
主人公・佐原葉は、ちょっとカワリモノ。
とはいえ、そんなカワリモノ男子にも初恋はあった。
それは3年前。中学1年生くらいか、そのあたりの頃。
相手はメガネで太っていた女の子。
勉強は苦手、運動も苦手、料理も苦手――苦手の総合商社みたいな娘だったけれど、それでも苦手が少しでも苦手ではなくなるようにという努力だけは止めない娘で、だからこそ葉くんは毎日のように会いに行っていたとか。
転勤族の父親の仕事の都合で彼女には会えなくなった。
だけど、それでも高校生になればまたこの街に戻ってこられるから、その時にはきっと会える。
二度と会えなくなるわけじゃない。
そう思っていた。
思っていたんですよ。
――彼女の方もそこから引っ越していたなんて、思わないよね。
そんな具合で、葉くんの初恋は終わった。
ちょっと引き出しの奥深くあたりにその甘酸っぱさを仕舞い込んで、彼は高校生になった。
そして。
彼は、立花あいりという美少女に一目惚れをした。
――はっや!!
恋、はっや!!
恋愛に関しては初心者であることを自認するものの、何かアクションを起こさないと他の人に取られると妹の美紀が半ば脅すように言ってくるし、たしかにその通りだと思った葉は彼女へのアプローチ方法を考えていくことに。
そこからさらに2週間後(――わりと入念に下準備するのね)。
その日、偶然にも彼女の周囲には誰も居らず、これは好機とあいりに話しかけようとしたところで。
キ〇タクも斯くやというセリフを吐いたのは、クラスメイトの進藤新。
まぁ、イケメンです。顔面偏差値は新入生の中でも恐らくトップクラス。
そんな彼が不意に話しかけてきたわけですよ。
「お前、鼻毛出てるぞ」と。
その後トイレに行って確認しても、鼻毛なんか出てなかったのに。
ま、そんなこともあったりしまして、葉くんは進藤くんとも仲良く(?)なりまして。
ただ、立花さんに声をかけようとすればやたらと周りから妨害されるようになるし、そもそもやたらと女子達からの当たりがキツくなっているように感じるし。
だけど立花さんとはやたらと目が合うような気がするし。
――と、わりと不可思議な状況になります。
そんな中でも立花さんに告白する人は後を絶たないという噂を聞き、いてもたってもいられなくなってしまった葉くんは進藤くんに宣言します。
――『俺は、立花あいりに告白する』と。
進藤くんは止めるものの、火が付いたら消せない葉くんは告白を断行――しようと思っていたのですが。
体育館裏で展開されていた光景は、さっきまで葉を止めていた進藤くんが立花さんに告白するところ。
そして、それに対して立花さんが首を縦に振ったところ。
そしてそして。
あまつさえ、進藤の野郎が、葉に対して散々な煽りを飛ばしてくるというゴミみたいなオマケまで付いて。
またしても葉くんの恋は終わりを告げた――。
――と思うだろ?
そうは問屋が卸さねえゼ。
え、何で?ww ――という衝撃のスタートで始まるのが『高嶺の花には逆らえない』でございます。
ちなみにこの後から葉くんは、やたらと立花さんに絡まれます。
おかしい、一応進藤がカレシのはずなのに。
推しポイント(続きの話もちょっと混ぜながら)
ヒエッとなるほどに純愛です。
いや、ふつう純愛で『ヒエッ』とはならんやろ――とお思いの方。
甘い、甘い。「サーターアンダギーのシロップ漬け・たっぷりの粉砂糖をふりかけて」より甘いよ。――そんなの食べたことないけど。
でも、ヒエッとなるでしょ。
自分を出し抜いて告白した男が、いきなり翌日スキンヘッド(しかもガチのヤツ、マジモンのツルッツルのヤツ。産毛すら見えないヤツ)になってたら、そりゃヒエッとなるでしょうよ。
明らかにそれ、自分が好きだった子に言われてやった感しか無いんだから。
もちろん葉くんも警戒心を持って、やたらと絡んでくる立花さんに付き合います。胸くそ悪い煽りをしてきた事実はありますが、スキンヘッドというおぞましい変貌を遂げた男を悪し様にできない人の良さも持ち合わせているので。
その最中、教室の喧噪から離れたところでいっしょに弁当を突くぽっちゃり系少女の武田千鶴とも仲良くなるのですが、立花さんは何故か彼女に好戦的になったりしますし。
そんなわけなので、何だか焦臭さしかしないわけです。
でも純愛なんですよ。
信じてください。
とりあえず、皆さんもぜひ一読を。
この純愛模様に、背筋からゾクゾク逝っちゃってくださいな。
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