YouTube Originalsのアニメ『OBSOLETE』(オブソリート)
概要
OBSOLETE(オブソリート)はYouTube Originalsのアニメ作品としてBANDAI NAMCO Arts Channelで配信されている。
2020年1月13日現在、オムニバス形式のエピソードでパート1の第1話から第6話が配信されていて、各話は約13分の長さ。元々はYouTube Premiumで公開されていたものが後から広告付きコンテンツとして無料でも公開された。再生リストは以下の通り。
OBSOLETEの物語の概要は以下のようになっている。
"2014年、突如、月周回軌道上に現れた異星人・ペドラーは、地球人類に「通商」を呼びかける。
1,000キログラムの石灰岩と引き換えに彼らが提供したのは、意識制御型作業機械・エグゾフレームだった。その汎用性と廉価性ゆえに発展途上国を中心に爆発的に普及し始めたエグゾフレームは、やがて戦場でも有用性を発揮、既存の兵器を「時代遅れ」のものにしていく。
一方、変わりはじめた世界に対し、アメリカ合衆国を初めとする先進諸国は、自国の産業保護などを目的に、エグゾの利用を規制。その軍事的可能性も目を背けるばかりだった。そんな政府の姿勢に危機感を抱いた合衆国海兵隊の一部隊員は、エグゾが世界に及ぼす影響の調査を独自に開始するが、彼らの前に、ドクロのエンブレムを付けた謎の部隊、アウトキャスト・ブリゲードの姿が見え隠れする。"
出典:アニメ「OBSOLETE」公式サイト『EPISODES』
https://project-obsolete.com/episodes/, 2020年1月13日参照。
感想
「ペドラー」という呼称が付けられた異星人との【通商】によってもたらされたエグゾフレームが世界の情勢に及ぼした影響というのはSFよりか現実世界に近しい印象で、現実味が溢れるようにも感じた。積極的にエグゾフレームを利用する地域、ザンクトガレン協定を結んで自国の産業保護などを目的にエグゾフレームを規制する国があれば、協定から離脱してエグゾフレームを自国の軍に正規導入する国もある、という姿を見ると、現実世界におけるIT技術産業の積極的な導入と規制という潮流を重ねた。
4Gamer.netの以下の特集記事にもあるように、ロボットが主として登場する他のアニメにあるような「一機体を乗り回す」という事がなく、捨て身で突撃したり乗り捨てる場面があるが、それも現実世界に近しい印象で、現実味が溢れるように感じる要因だろう。
何よりも、「現実世界でもあり得そうだと思ってしまう所」が、1話それぞれが短いOBSOLETEを見応えある作品にしている。「現実世界でもあり得そうだと思ってしまう所」というのは『ダンボール戦機シリーズ』(レベルファイブ)でも思った。
公式ウェブサイトのエグゾフレームの項目を見ると、アニメ本編から更に詳しくエグゾフレームの入手方法や動力、必要訓練期間などが説明されていて、アニメに更なる深みを持たせている。
エグゾフレーム1体につき、石灰岩1000キログラム(1トン)が必要だが、日本では石灰石1トンあたりの出荷販売単価が1000円未満というデータ*1もあるらしく、エグゾフレームの低価格ぶりには驚いた。
「ペドラー」は政治干渉や文化交流を望まず、ただ通商のみを希望している。交渉せず、姿も見せず、石灰岩1トンを用意すれば国家・民族・思想・その他の差違を区別せず平等に均等に地球人類にエグゾフレームを渡して行く姿は、奇妙であり不気味でもあると感じた。
*1 出典:GD Freak! 事実に基づく思考のために『グラフで見る! 石灰石の生産・出荷・単価の動向 出荷販売単価の推移 月次ベース 【出所】経済産業省 資源・エネルギー統計』、
https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010140010150111003/4, 2020年1月11日参照。
パート1:全6話
オムニバス形式なので第1話から順に見るのも良し、時系列順に見るなら、第2話→第3話→第4話→第5話→第6話→第1話の順。パート1の全6話が日本語・英語・韓国語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・ロシア語・ポルトガル語の字幕に対応している。また、日本語のオリジナル音声に加えて、英語・ロシア語・スペイン語・ポルトガル語・インドネシア語の吹き替えに対応している。
【第2話】冒頭は2014年に突如として、異星人・ペドラーが通商を目的に地球人類に呼びかけをする場面になっている。その1年後の2015年、アメリカ合衆国海兵隊のボウマンは、多国籍軍の一員として地域安定化作戦のために派遣されたアフリカのアンゴラ共和国・カビンダ州で、地域住民の生活の一部として機能しているエグゾフレームを見て、軍用への転用可能性を考える。
【第3話】時は2016年。日本の陸上自衛隊冬季戦技教育隊に所属する三谷島黎(みやじまれい)がエグゾフレームを正規採用したインド軍の山岳特殊部隊を視察のために訪れる。
【第4話】時は2017年。国の正規軍を退役して、エグゾフレームを導入している民間軍事会社(PMC=Private Military Company)のサーベラス警備保障に入社したレブナーはペルシャ湾の石油ターミナルでの警備任務に参加する。ここでは、エグゾフレームが作業用機械として地球社会に普及していく様子が現場の作業員が搭乗している様子や建設機械メーカーのキャタピラー社・コマツ社・リープヘル社の株価下落として触れられている。
【第5話】アフリカの紛争地域において、銃よりも安価で誰でも操縦できるエグゾフレームに子供兵として少年少女が搭乗するも、満足な装備を持てないまま迫撃砲や戦車に一方的に打ちのめされる様子が描かれている。
【第6話】第5話から続いている。ザーヒルと名乗る男によって教えを受けたジャマル達は以前よりも戦士として戦場を躍動するようになったが、やがてアフリカ連合の介入によって紛争の終結を迎える姿が描かれている。
【第1話】時は2023年。第2話に登場するボウマンが率いるアメリカ合衆国海兵隊のエグゾフレーム部隊が南アメリカでのエクアドルとペルー間の紛争の最前線に立つ姿が描かれている。
関連商品
関連商品としてフィギュアやプラモデルの予約受け付けが行われていたりする。
パート2:予告
パート2(第7話から第12話)の予告が公開された。日本語と英語の字幕に対応している。
関連資料
前述の通り、4Gamer.netからOBSOLETEの特集記事が出ている。
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