マガジンのカバー画像

自由詩

21
運営しているクリエイター

2021年10月の記事一覧

終点

永久氷床でつくられた砂糖菓子のかけらをひとつ、口の中へ放り込む。
腹の底が一瞬ひんやりとする。その後、口の中に鈍い甘さが広がってゆく。
私は首に下げた双眼鏡で海面を眺め、手早くスケッチをとりはじめる。
(本日の冬空は快晴、風はよわく波はおだやか、湾内の永久氷床の数は百三十二・・・)

遙か遠くの大地で溶け出した永久氷床は、多角形の断片となって洋上へ漕ぎ出し、海流に乗って移動を始める。
やがて、この

もっとみる