【読書ノート】『光のところにいてね』
『光のところにいてね』
一穂ミチ著
結珠(ゆず)と果遠(かのん)は、居住環境こそ異なるものの、毒親に蝕まれた人生を送っていた。そんな二人の出会いは、7歳。15歳の時に再会して、29歳で再び出会う。四半世紀にわたる二人の人生の物語。
キーワードをあげてみる。
①「光のところにいてね」
光は暗闇を照らし、迷いを晴らし、道を示す。光は知識や洞察力を象徴する。また、光は神の存在を象徴する。
②ギュスターヴ・ル・グレイ
「セットの大波」
ギュスターヴ・ル・グレイは、19世紀の写真家で、代表作の一つが「セットの大波」。この作品は、海と空を別々に撮影し、重ね合わせて作られている。写真が現実をどのように捉え、表現するかを深く考えさせられる。
③カノン
パッヘルベルのカノンは、独特な繰り返しと重複によって、時間の流れと永遠の存在を象徴する。過去と現在、未来と現在が交差し、一つの継続的な時間の流れを示唆している。また、反復と重複から、永遠という、時間の制約を超えた存在感を象徴している。
物語は、結珠と果遠が交互に相手に対する特別な想いを独白する形で進む。
物語の主題は何か?
迷い込んだ暗闇の中で、光は希望であり、人生の目的と意味をもたらす。運命的な出会いというのは、双方にとって、光となる存在なのだということ。
生きている限り、光と闇が繰り返し訪れるわけだけど、同性、異性に関わらず生きて行く上で出会うべきパートナーと巡り合うことは、喜びなのだなあと思った。
エンディングは、賛否あるかもしれないけど、繰り返される出会いと別れには心を揺さぶられる。
400頁超えの物語だったので、ゆっくり読もうと思っていたのだけど、気になって一気に読んでしまった。
もしかしたら、一穂ミチさんは、クリスチャンではないか?とか思った。