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【読書記録】『狭き門』

『狭き門』
A.ジッド著


ジッドの自伝的な小説。
主人公・「僕」(ジェローム)と姉妹(姉・アリサ、妹・ジュリエット)の三角関係の恋愛物語なのだけど、けっこう深い。登場人物はいずれも、敬虔なクリスチャン。日々祈り、礼拝も欠かせないクリスチャンたちの物語なのだけどね。
ジェロームも敬虔なクリスチャンで、美しく、品のあるアリサに恋する。アリサは、自分が、汚れている者なのだという思いがあって、ジェロームに対して、積極的になれない。そこに、妹のジュリエットが、キューピット役のように、二人の間に入るのだけど、ジュリエットは、ジェロームに恋してしまう。ジェロームは敬虔なクリスチャンゆえに、愛するアリサに対しても清さを求めるが、その想いは、アリサにとって、嬉しくもあり、清くない自分は、苦しむ。ジェロームは、自分の力で、アリサを幸せにするためにも、勉強して、たくさんの収入が得られる整った人物になってから、アリサを迎えるために励む。

狭き門
この聖書の言葉は、「マタイによる福音書」7章13節から14節にある。

1. 広い道は「滅びに至る」とされ、反対に狭い道は「いのちに至る」とされている。これは、短期的な快楽や便利さを追求することが、最終的には自己の破滅や後悔につながる可能性があることを警告している。逆に、狭い道を選ぶことは、長期的に見て真の幸福や満足をもたらす。

2. 狭い道を選ぶことは、多くの困難や努力を伴うことがあり、選ぶ人が少ない。しかし、その道には真実や成長、精神的な充実が待っている。

3.狭い門は、神との関係や真理を追求する道として理解され、広い門は世俗的な価値観や物質的な欲望を象徴する。

物語の主題は何か?

幸せは、神様からの恵みなのであって、自分の力で幸せを掴もうとか、幸せにしてあげようと思うことが、神様に対する罪なのだということなのだろう。

一見すると、ジェロームの行動は理にかなっているのだけどね。
所詮人生に完璧というものはないわけで、まず、パートナーと結ばれて、それから、二人で、お互いを補い合いながら人生を歩むことが、求められているのだろう。。

いま与えられている恵みに気づいて、感謝することが大切なことなのだと理解した。

随所に出てくる聖書の御言葉がキーワードのように、一つ一つのシーンを象徴する。世界文学ならではの、力強さを感じさせられた。

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