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【読書ノート】『夜が明けたらいちばんに君に会いにいく』

『夜が明けたらいちばんに君に会いにいく』
汐見夏樹著


幼少期のトラウマで、自己主張することをやめた茜。そんな茜の本来の姿を見抜いている青磁は、茜のことを「嫌いだ」とはっきり言うところから物語は始まる。

実は、茜は、人前ではマスクを外すことができない。マスク中毒の症状がある。自分の本心を隠さなければならないと思ってしまう闇を抱えていた。コロナ前の作品で、マスクがさほど一般的ではなかったわけで、現代の感覚とは多少異なるのだけどね。

コロナの時に、WEB会議をしている時でも、マスクを付けてやり取りすると、やっぱり、話しにくさを感じていたことを思い出した。

よく、目は口ほどにものを言うと言うのだけど、実際は、目よりも口元が作り出す表情の方が、影響は大きいのだろうと思う。

コロナ明けの今、コロナとは別の理由でマスクを外すことができない人が少なからずいるようだ。

物語に戻ると、マスクを外せない茜が、少しずつ、青磁に惹かれていって、マスクから解放されて行く一連の流れが、ほのぼのとしていて、良かった。

自由奔放な青磁も、実は、深い闇を抱えていて、それが、物語を展開させていく。

物語の主題は何か?
ひとは、もともと不完全なもので、運命的な片割れが、必要なのだと言うことだと理解した。

祈らなければならないような状況を通してでないと、ひとは前に進めないのだと思うのだけどね。

映画も見てみたのだけど、だいぶ設定が変わっていて、ドラマ仕立てが濃くて違和感を感じてしまったのだけど、わかりやすくはなっていたのかもしれない。

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