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【読書記録】『しあわせのこみち』(『光待つ場所へ』より)
『しあわせのこみち』(『光待つ場所へ』より)
辻村深月著
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主人公・清水あやめは、文学部に通う女子大生ではあるが、絵画の才能があって、その力量は、美大生を凌ぐ。そんなあやめの出鼻を挫くような芸術の才能溢れる田辺の作品を見て、自分の自信が揺らぐ。
キーワードを挙げてみる。
①「しあわせのこみち」
幸せへの道や幸せを追求する過程を象徴している。
1. 幸せは単なる結果ではなく、自己を理解し、成長する過程において見出されるもの。しあわせのこみちは、個人が自らの価値や目標を見つける旅とも言える。
2. 幸せは他者との関係の中で形成されることが多い。人とのつながりやコミュニケーションが、しあわせのこみちを豊かにする。。
3. 幸せは固定的な状態ではなく、変化するものであり、この道のりでは、困難や挑戦を受け入れることで成長し、より深い幸せを得ることができる。
②「光待つ場所へ」
希望や未来への期待、そして新たな可能性を象徴する。
1. 光は一般的に希望や明るさを象徴する。暗闇や困難な状況からの脱出を求める姿勢を表しており、未来に対する期待感を示唆する。
2.光を待つことは、自己の存在意義や人生の目標を見出す過程を象徴し、探求心や成長を促す。
3. 光が差し込む瞬間は、変化の兆しを意味する。変化は成長の一部であり、ひとの限界を超える機会を表す。言いかえると、変化を受け入れ、その先にある新しい自己を見つけるプロセスを示唆している。
4. 光はしばしば他者とのつながりをも象徴する。共に希望を見出し、支え合うことの大切さを示す。人は孤独に光を待つのではなく、共にその光を見つけることでより豊かな人生を送ることができる。
物語の主題は何か?
幸せとは何か?ということ。
ひとは、それぞれ何か得意なことがあるはずで、まずは、自分の得意なこと(才能)は何かに気づくことは、ひとつの喜びになる。次に自分は何かの分野で、優れているということを他人から評価してもらいたくなってしまうわけで、その過程で、脱落してしまう者が出てくる。与えられている才能を信じて、喜んで取り組んだ先に幸せは見えてくるということなのだと理解した。
本書は、5編からなる短編集だけど、どの作品も基本的には、希望や未来への期待みたいなものがテーマで、なかなか、よいですね。