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【読書ノート】『白夜行』
『白夜行』
東野圭吾著
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大阪の廃墟ビルで質屋を経営する男性が殺害された。被害者の息子、桐原亮司と容疑者の娘西本雪穂には、不可抗力から、それぞれに過ちを犯してしまう。
その過ちに漬け込でくる裏社会の人々の中で、静かに、抵抗しながら、表社会への復帰を試みる。
盛り沢山な、悲劇。登場人物がそれぞれ非常に魅力的で、物語に惹き込まれる。
罪を意識した者が、世の中生き抜いていくために、そして、お互いの罪を解放させて、太陽のもと堂々と歩くことができることを望みながら更なる罪を犯し続ける。という、生き地獄の中を二人は力を合わせて生きて行く。
物語の主題は何か?
子を持つ親に課された責任の重さを感じさせられた。
罪を犯し、というか、現実をそのまま、明るみに曝け出していれば、犯罪では、なかったのかもしれないが、現実を隠してしまうところから、罪が、始まってしまったのだと思う。そして、ごまかし続け、逃げ惑う姿は、エデンの園を追放されたアダムとエバを彷彿させられた。
人間社会では、現実的にすっ裸で生きていくことはできないわけで、
何らかの秘事とどう向き合っていくか考えさせられる。
いつも、神の存在を意識して、太陽の光の下堂々と歩むことが、幸せなことなのだと思わされた。
この物語が、『幻夜』に繋がると思うと、なかなか、興味の壺をそそられる。