【読書ノート】『土脉潤起』(どみゃくうるおいおこる)(『信仰』より)
『土脉潤起』(どみゃくうるおいおこる)(『信仰』より)
村田沙耶香著
前作、『生存』の続編。
野人になってしまった姉を正常な妹の目線で見るという物語。
タイトル『土脉潤起』
中国の言葉であり、直訳すると「土の脈が潤って起こる」という意味。この言葉は、土地や環境の恵みによって、人々が豊かな生活を送ることができるという理念や考え方を表す。土地や自然環境を大切にし、それらから得られる利益や恩恵を活かして、持続可能な社会や経済を築くことを促すメッセージとして用いられる。
姉が野人になって3年がたつが、「私」は定期的に野人の姉の様子をみていた。
そんな『私」は、女子友3人家族の代表として、人工授精で子供を産む決意をする。
物語の主題は何か?
幸福というのは、他人と比べる意味がないということなのだと理解した。
野人として生きている姉は、野性という過酷な環境下にあっても、順応してきていて、ある意味、幸せなのだと思った。そして、「私」の目指す幸せは、普通?とは、違うし、一方で、野人とも、正反対のところにあるわけで、人間の幸せは、それまで、何気なく教育の中で刷り込まれてきた、中流家庭のイメージとは違うところにあったわけで、何をもって、幸せかは、人それぞれなのだということ。
ダイバーシティってこういうことなのだろうと思った。