【読書ノート】『天使の耳』
『天使の耳』
東野圭吾著
女性には、直感が、優れているひとが多いように思うのだけど、盲目な女性は、視覚以外の感覚、聴力や状況認識力や直感力が研ぎ澄まされていたりするのかもしれない。
深夜ラジオが流れている時、片側二車線の商店街の交差点で、黒い外車と軽自動車の事故があった。
外車はほぼ無傷だったのだけど、軽自動車は、ぐしゃぐしゃで運転手は瀕死の重症。外車は、若い男女のカップルが乗っていて、自分たちは、青信号を見て走っていたら、軽自動車が突っ込んできたのだと主張する。周囲には目撃者がいなかった。実は、軽自動車には、運転者の妹奈穂が、同乗していて、奇跡的に無傷だったことが、わかった。奈帆に事情を確認するのだけど、彼女は、盲目であるものの記憶力と聴力、そして、天使のような美しい目を持って、信号機は、青であったことを立証する。
物語の主題は何か?
信号機という機械に頼った交通システムには、必ずほころびがあるもので、100パーセントに安全なシステムはない。そのため、偶然が重なって、事故につながることがあるのだということ。一方で、美しいひとの語る言葉は、真実だと思わせられてしまうものだと改めて思わされた。
奈穂物語の結末でのドンデン返しは、なかなか、寒々とさせられる。
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