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【読書ノート】『冬空のクレーン』

『冬空のクレーン』(『さいはての彼女』より)
原田マハ著


日本最大手の都市開発会社で日本最大と言われる開発プロジェクトを任されて日々奮闘ている主人公・陳野志保。周りからは、閃光の眼差しで崇められ、自らも、大会社の看板を背負って立っている自負もある。そんなある日、期待していた後輩・横川君との間でトラブルが起こり、強く叱責したところ、横川君は、出社拒否どころか、名誉毀損で会社を訴訟することをちらつかせる。バカなことをとタカを括っていると、会社は一転して、社長直々、志保に謝罪することをを要求してきたのだった。

プロジェクトの要は自分だという自負もあり、志保は有給休暇を使うことで、暗にボイコットして、会社や部下たちを困らせてやろうと思ったりもしていた。が、蓋を開けてみれば、会社もプロジェクトのメンバーも誰も志保に泣きついて来なかった。志保不在でも、プロジェクトは順調に進んでいるようだった。

クレーンが何機もそびえ立つプロジェクトから最も離れた土地を目指して、志保は、冬の北海道・釧路に向かった。そして、自分は会社の歯車にすぎないものだということを知る。

そんな時、タンチョウヅルとタンチョウレンジャー・天羽と出会う。

タンチョウヅル
1.優雅さと美しさの象徴。その白く美しい羽毛と優雅な舞いは、自然の中での調和とバランスを表現される。ここから、美と調和の追求が人生の重要な側面であることを示される。

2.長寿の象徴でもある。これは、時間の価値と持続性の重要性を象徴する。

3.孤独を象徴する。時には、自分と向き合い、内なる平和を見つける必要があることを示唆する。

実はクレーンという言葉は、英語でツルのことをあらわしたりする。

物語の主題は何か?
仕事ってどういうものなのかということなのだと思った。
どんな仕事も求められることは美と調和であり、長期にわたり進められる。理不尽な思いや孤独もあるのだけど、誰かは味方もいるもので、耐え忍んだ先には未来があるのだろう。まあ、結局のところ、周りがどうだというよりも、その仕事を自分は好きかどうかが大事なことなのだろうと理解した。

なかなか、現実的でよい問題提起だと思った。

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