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【読書記録】『六人の嘘つきな大学生」
『六人の嘘つきな大学生」
浅倉秋成著
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IT会社の最終面接で、5,000人以上の応募者から選ばれた6人がグループディスカッションに挑む。課題は、会社の現実の問題を解決すること。発表は1ヶ月後で、彼らは定期的に連絡を取り合い、親睦を深めていた。しかし、会社から方針変更があり、6人の中で誰が入社すべきかを決定することが課題となった。そして、グループディスカッションの当日、六人の中の誰かが、全員の過去の汚点を全員の前で晒らす。
今の売り手市場では考えられらないようなことを言う会社だなあと思ったが、買い手市場の就活は、難儀なことだと勝手に思ってしまった。ただ、そもそも、そんなロクでもない会社には入るべきではないけどね。
物語の主題は何か?
ひとには、いろいろな側面があるわけで、全く汚点というか、弱点のない人間はいない。その人物を真に評価することはできないということ。ましてや、就活で企業が行う人物評価なんて、真実とは程遠いものなのだろう。
ひとが一生の間に出会える人間の数なんて限られているわけで、出逢ったひととは真摯に向き合うことが、社会生活を営む上で大切なことなのだと理解した。
就職活動というのは、会社と学生の嘘の付き合いなのだろうか?と考えさせられたが、
会社を選ぶ尺度って大卒くらいだとわからないだろうなあとつくづく思う。当然のことながら、会社側も学生の能力の評価はほとんどできていない。
ただ言えるのは、会社には何らかの独自のカラーがある。同じ業界でも、会社によって、カラーが異なっているというのは、事実ではないか?と思う。そういう意味では、親しくしていたひとが入った会社は自分にも合っている可能性は高いような気はする。
物語には、数多くの伏線があって、キーワードは盛り沢山で、なかなか、エンタテインメント性のある一冊だった。
ちょうど、映画も公開されて、見てみたい作品だと思った。