
小学生よ、歓喜せよ。|デモンズ・クレスト1・2巻
どもども、明原星和です。
僕には、僕を”小説”という世界に誘うと同時にハマらせてくれ、作家という夢を抱かせてくれた尊敬する偉大な作家様がいます。
その方が、川原礫先生です。
川原先生の書いた「ソードアート・オンライン」を皮切りに、僕は小説世界を知り、没頭し、作家を目指すようになりました。
僕に小説を……夢を与えてくれた川原先生には深く感謝しており、勝手に敬わせていただいております。
そして、今回読ませていただいた
「デモンズ・クレスト」
はそんな川原先生の最新作になります。
既刊2巻であり、今回はその両方を同時に紹介・感想を述べさせていただきます。
こちらの作品は、川原先生の十八番である「VRゲームの世界」を舞台にした作品になります。
具体的に述べるならば、ゲームと現実の世界が複合してしまった世界…でしょうか。
川原先生と言ええば、VR型フルダイブゲーム系の作品のブームを築き上げた伝説的作品「ソードアート・オンライン」から、同じくVRゲーム世界を舞台とした「アクセル・ワールド」。
ちょっとマニアックな作品だと「絶対ナル孤独者」などの作品を出されておられます。
川原先生は緻密で繊細であり、頭の中で無限に世界がブワーっと広がっていくような美しい描写が素晴らしく、今作もその腕がいかんなく発揮されています。
加えて、キャラクターそれぞれの個性やそれぞれの心情がじかに伝わり、まるで自身がその場にいるように錯覚してしまうような臨場感を味わうことができます。
そして、何と言っても今作の最大の特徴だと感じておりますのが、主人公含む主要キャラクターがすべて小学生だということにあります!
児童小説や少女漫画、児童向けコミックなどでは小学生が主人公であることは別に珍しくないですが、ライトノベルでの小学生が主人公の作品はとてもとっても、とぉーーーーーーっても珍しくて新鮮です!
本作では、主人公を含んだ四人で組まれたパーティーを中心に物語が展開していく形になります。
主人公は、ゲームが好きでクラスで目立つわけでもない少年「芦原佑馬」
そして、その双子の妹である「芦原佐羽」
ユウマの親友でムードメーカーの「近堂健児」
サワの親友で、ユウマと家が隣同士の幼馴染である「茶野水凪」
4人を含めた計41名の小学校のクラスメイト達は、フルダイブ型VRMMORPG「アクチュアル・マジック」のテストプレイに参加していたところ突如異変が起き、ゲームである「アクチュアル・マジック」の世界と現実世界が融合した舞台で、命を懸けた戦いを行っていきます。
これだけ聞くと41人の小学生がバトルロワイヤルでもすんのかと思ってしまいそうですが、そんな作品ではないのでご安心を。
融合してしまった世界の謎を解きながら冒険する小学生協力型冒険ファンタジーです。
「41人ってあまりにも多くない?」
「キャラ覚えるだけでも大変そうすぎる」
などの不安もご安心。
そこはさすがの川原先生。
要所要所で出てくるキャラクターをきちんと使い分けていますし、なにもみんながみんなメインキャラというわけでもないので、全員を把握していなくても読み進めていけます。
この作品のもう一つの魅力としては、次々とページを捲らされる構成力の高さです。
ページをめくるごとに「これからどうなるんだろう?」という興味を抱かせるとともに、こちらの心を大きく揺さぶって「楽しみ」と「なんで!?」を右往左往させてきます。
シンプルにひとつの小説作品として勉強になることがたくさんありますので、この手のジャンルにあまり興味が湧かない…という方でも、一読する価値は十二分にあると思います。
小学生がたくさん出てきて、小学生がたくさん活躍する作品……
ふ……まったく……
まったく、小学生は最高だぜ!!
(↑ネタ台詞です)
ちなみにこちらの作品、小説版とは別に漫画版(縦読み漫画)がフルカラーで出ておりますので、こちらでも楽しむことができます。
ただ、漫画と原作とでは若干ストーリーが異なりますので、願わくばどちらともに読んでいただきたいです!