読書記録「場末の文体論」
「場末の文体論」
小田嶋隆
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飛び散らかしたように読んだ本の題名を忘れる。まあそれはいいんです。どうせ覚えられないし。この本はおそらく絶版。最初は図書館で借りた。「談志中坊に宿る」の最後で思わず涙腺がゆるみ(※小田嶋さんは読者を泣かせようとかそんなことは一切考えていないと思うが)いつか手に入れたいとタイトルをメモしていた。
小田嶋さんの文章は①リズム感があるので落語を聴いているみたい②飾らない③優しいと感じる。あくまで個人の感想です。
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私は文章を音で聴く感覚が結構強くあって、例えば長々と翻訳された文は悲しいかな全く頭に入らない。それと、他人の日常ブログを読むのが結構好きなのですが、それは「わーい」みたいな単純明快な気持ちが表れていることが圧倒的に多いからです。つまるところ難解な文章が一切わからない。でも内容が難解でも文章自体にリズムがあるとわかる気がする。これは単に好みの問題だと思う。私は大江健三郎の小説を読み進めることができず「なんだこの難しさは」と匙を投げた側の人間なのですが小田嶋さんも同じようなことを確か仰っていた。親近感を(勝手に)(強く)持った。ここで、小田嶋さんの感性とお前のそれを同じにするなと思った小田嶋ファンの方がいらしたらすみません自分でもそう思います。でも小田嶋さんの本当のすごさは正直なところだと思う。選挙に行かない時期があったことも言っている。巷では相変わらず知識人がスパスパとモノをぶった斬るような言い方が流行しているけれど小田嶋さんは当然のように庶民の側に立ち、悩んでいる。小田嶋さんがもし生きていらしたら、この「新しい戦前」の様々な事象についてなんて言うのかなあとぼんやり考えてしまう。
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日曜夜、イオンの蔦屋で死んだ顔をしながら「ザ、コラム」を何となく手に取ったあの日の自分に「ちゃんと良い本を選んだな」と言いたい。人間なんかやってられっかだし滅びるならさっさと滅んでしまえと思うけれどこの本が無事に届いたので今日は様々な怒り悲しみ絶望を抱えながら眠りにつく。