江戸時代の料理書に見る「はじき葡萄」と呼ばれる料理について
江戸時代の料理書をいくつか眺めていたりインターネットで情報を収集しているうちに「はじき葡萄」というネーミングの料理を知った。
このような料理の紹介のされ方をしており、どのサイトも江戸時代の料理書の『料理通』を挙げているが、恐らく福田浩・松藤庄平『大江戸料理帖』という本をベースとしているようだ。
●江戸時代の料理書に見るはじき葡萄
『料理通』をパラパラとめくっていると3編のレシピの章では無く献立の章に記載があった。
「四季丼物之部」という項目の最後に「黄菊 はじき葡萄 おろし蘿蔔(大根) 酢醤油」とみえる。
ページの性質上、お皿に黄菊とはじき葡萄とおろし大根を盛り付け酢醤油をかけて頂く料理と解釈出来る。
「はじき葡萄」という言葉の原義的には碇防風、おろし大根と言ったように、葡萄に何らかの下処理をしたものと解す事が出来る。それがどんな下処理なのかは分からないが現代においては料理の名前として引用されてきているようだ。
●作ってみた
黄菊は無かったので省略したが、ぶどうの皮を剥き種を取り、おろした大根の上に乗せ、酢醤油では無くポン酢をかけてみた。
醤油の塩辛さとぶどうの甘さ、香りと大根おろしのピリッとした辛みが絶妙に組み合わさり、思っていたより美味。
何より200年前にぶどうに大根おろしと酢醤油という酢の物が考案されていたことに驚きを覚える。
江戸時代の料亭の高級料理の真似事を一般庶民が自宅で出来るようになったこともありがたい。