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よいのはる
2024年1月24日 20:18
半額シールのついた大トロのパックを手に取りながら、著者はふと絶望する。「人生って、これでぜんぶなのか」自分を取り巻く世界がとても小さなものに思えたり、反対に、とてつもなく大きく感じられたりすることがある。たとえば一日の大半をベッドの上で過ごした時。重い腰を上げてやっとの思いでコンビニに行き、「袋いらないです」がその日初めての発話だった時。その自分の声が、お世辞にも人の声とは言えないほど情
2024年1月15日 20:37
いろんな幸福を知ってるひとだ。石鹸、砂糖、カクテルの名前、りぼん、小さな鞄、お風呂、箒と塵取り、日がながくなること……。ありふれていてささやかだけど愛おしく、なぜか気になってしまうものやことについて書いたエッセイ集。この本で挙げられているものものは、ほんとうにとるにたらないのだけど、彼女の生活、知性、思い出、ユーモアが滲んだやさしい文章を通してそれらをみると、とたんに愛すべきものに感じら